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1967 41J 原爆被害者を守るための援護法制定に関する要望書

1967年3月11日

 広島・長崎に原爆が投下されてから二十三年目を迎えた今日でも、原爆被害者が原爆症と貧困の悪循環に苦しんでいることに、私たちは心を痛めています。

 昭和三十二年、全国民的な原水爆禁止と被爆者救援を求める世論によって、「原子爆弾被爆者の医療等に関する法律」が制定されましたが、この法律は生活保障を含んでいないので、被爆者の健康と生活とを十分に守ることができません。

 私たちは、政府・国会が一日も早くこの問題に関する審議会を発足させ、原爆被害者を守る援護法を制定し、原爆被害者に対して十分な医療保障と生活保障を実施するよう要望します。

1967年3月11日

井伏 鱒 二
植村   環
内山 尚 二
江口 朴 郎
大江 健三郎
茅  誠 司
川端 康 成
上代 た の
都留 重 人
南原   繁
日高 六 郎
平塚 らいてう
湯川 秀 樹
笠  信太郎
臘山 政 道

1966 39J 中国の核実験に際し佐藤首相に国連での努力を要望するアピール

1966年10月31日

 またしても、中国が核実験を強行しました。核兵器による災害がいかに悲惨なものかを熟知するわれわれとして、まことに遺憾だといわざるをえません。しかも、今回はミサイル核兵器の実験であります。このことは、中国の核兵器の開発が予想をはるかに越えた速度で進んでいる事実を示すと同時に、核軍縮の必要をいよいよ緊急なものにしました。

 核兵器を中心とする軍縮への道を切りひらくべく、すみやかに、国際会議を開催し、核軍縮に対してすべての手が打たれねばなりません。中国としても、核兵器開発の最終日的は、「核兵器を消滅させるためだ」とする以上、こうした会議に参加を拒否する理由はないと思います。

 ただ、中国の国連不参加問題が、国際軍縮会議参加への現実的な障害となっているのだとすれば、当然のことながら、この問題をできるだけ早く解決せねばなりません。国連総会は、目下開会中であります。核兵器の脅威のない世界をひたすら求める日本国民の願望を体し、わが政府が、国連総会で、この目的にそうてあらゆる努力を傾けるよう強く要望するものであります。

1966年10月31日

世界平和アピール七人委員会

内閣総理大臣 佐藤栄作殿

1966 38J アメリカのハノイ・ハイフォン地区爆撃に対する抗議アピール

1966年6月30日

 今回、貴国の空軍が強行したハノイ・ハイフォン地区の爆撃は、世界の平和にとって憂慮にたえません。それは、戦争をますます拡大させるものであってまことに遺憾というほかはありません。

 こうしたことを二度と繰り返すことなく、また、「北爆」そのものをやめ、ふたたび和平探求の道を歩まれることを、強く訴えるものであります。

1966年6月30日

世界平和アピール七人委員会

ジョンソン米大統領殿

1966 37J フランスの核実験に反対するアピール

1966年6月25日

 貴国はいま、南太平洋のムルロア環礁で、一連の核実験をおこなう準備を、着々とすすめているといわれております。私どもは、貴国に対し、ぜひともこれを思いとどまるよう、強く要望せざるをえません。

 それは、やがて降りそそぐ「死の灰」が、子孫にあたえる恐るべき害毒のためでもありますが、それだけではありません。核実験の強行が、そうでなくても不安な現下の国際情勢に新しくかつ鋭い悪化の拍車をかけるからであり、また列強の核軍備競争に、強い刺激を加えるとともに、核拡散の危険を一層増大するからであります。

 貴国が核実験を強行した場合には、その行為は、目下再開中の国連軍縮委員会の努力に逆行するものとして、世界の眼に映るでありましょう。貴国は、国連安全保障理事会の常任理事国として、世界の平和と国際緊張の緩和のために、重大なしかも名誉ある責任をもつ国であります。ことに貴国は軍縮委員会の委員国にも選ばれており、核軍縮の推進を期待されている国であります。

 貴国が世界の平和のために核実験をやめ、すみやかに国連軍縮委員会に出席し、核の脅威なき世界の実現をめざすあらゆる努力を傾けられるよう、強く念願するものであります。

1966年6月25日

世界平和アピール七人委員会

シャルル・ドゴール仏大統領殿

1966 36J 中国の核実験に際し軍縮会議の開催を要望する

1966年5月10日

 中国がみたび空中での核爆発実験を強行しました。ことに今回は、予想されたとおり、水爆の可能性さえ示唆されています。
 「死の灰」と核兵器の脅威から永久に解放されたいと願う私どもとして、まことに遺憾というほかはありません。

 しかも、今回の中国の核実験も他の諸大国の実験、とりわけいまなお続行している地下実験が一つの強力な刺戟となったといわれます。とすれば核兵器開発のもつこの悪循環をなんとしてでも断たねばなりません。

 できるだけ速やかに中国の参加する新たな軍縮会議をひらき地下実験を含めた全面的核実験禁止と核兵器廃止、さらに全面軍縮について討議を開始し、これを成功にみちびくため、関係諸国があらゆる努力を傾けるよう心から希望するものであります。

1966年5月10日

世界平和アピール七人委員会

1965 35J ベトナム戦争の平和的解決に関する佐藤首相へのアピール

1965年4月6日

 ベトナムの情勢は、米軍の北爆と、これに対応して日ごとに硬化しつつある北ベトナムの態度、さらに大戦への発展をおそれて薦旛しながらも刻々に進展する情勢を前にして、勢い介入を深めざるを得ない事態に至ろうとする中国とソ連の動きを見ておりますと、事態は決して楽観を許さないものと観得いたします。この情勢を喰い止める何らかの力になるためには、日本としては「まだ発言の時期でない」というようなことは、もう言えなくなってきたと思われます。

 何よりも第一に、戦後の日本は、平和の維持を立国の第一義といたしております。「平和に徹する」ということは、首相におかれても常に発言されているところでありますが、いまこそ、その平和の建前と主張を、この事態を鎮静化するために役立たせることができないならば、時期を失するおそれがあろうと思われます。

 日本は如何なる国とも友好関係をくずしてはいけない事情にありますが、米国とは事実として特別友好の関係にあります。しかるにその米国は、いまでは自力だけではあのベトナムの泥沼から足を抜きかねる状態に自分自身をつき落しております。これにはいろいろの因縁が複雑にむすばれていることですが、それらについては、公平にいって、必ずしも米国の行動が正しく妥当であったからだとも結論いたしかねることでもあります。しかしその議論は抜きにいたして、いまは何らかのキッカケを与えることによって、米国をしてその足を抜かせることだけが、米国のためであり、同時に世界平和のためであります。その米国と特別友好の関係にある日本は、表面からであろうと裏面からであろうと、米国にそのための強い助言をいたすのに、時間と言葉を惜しむべきではないと考えます。
 第二に、この問題は、日本自身の立場にとっても緊急性をもっております。と申すのは、日本は米国との間に安保条約をもっております。この安保条約は、日本自身が何らかの不測の危険な状態に陥ったときに、米国の援助を受け取るというのが、ことの起りから見る場合の本筋でありますが、同時に、米国が極東で行動を起す場合に、日本が、米国による基地利用その他によって何らかの係わりをもつことになりかねないものを含んでおります。後者は、いまの日本にとっては、すこぶる危険な可能性をもつもので、これが日本にとって安保条約がもつ最も憂慮に堪えぬ一面であります。現状は、場合によって現実にこの憂うべき側面が日本におっかぶさってくる危険をはらんでおります。

そこでご存じのとおり第四条は、

 「……日本国の安全又は極東における国際の平和及び安全に対する脅威が生じたときはいつでも、いずれか一方の締約国の要請により協議する」

 とありますから、日本としてはこのさい、何としても米国とこの問題について協議にはいり、この極東に発生しつつある危険が日本に及ばぬようはっきりした話し合いをする必要が迫っております。その最大の目的は、在日本の米軍基地をこんどの事態のためには用いないよう要請することであります。この点は、日本の安全のためにはすこぶる重大であります。

 第三に、附随的なことでありますが、過日松本特派大使の南方視察後の報告として報道されました中に、日本が何らかの援助をする必要があるやに話されたことが伝えられております。何を何国に、援助するかは、必ずしも明らかに伝えられておりませんが、如何なる国にも同様に友好であるべき日本としては、この「援助」は今後発展しうべき事態を前に致しては、決して一方だけに行わるべきではありません。それは単なる経済的援助においても、もとより同様であります。

 私達は韓国やフィリッピンや台湾に、この動きのあることを憂慮してきておるものであり、日本とこれらの国々との間の根本的な立場の相違を取り違えることがあっては、一大事であります。とくに、この点については、首相の戒心をお願いしておきたいのであります。

1965年4月6日

世界平和アピール七人委員会

内閣総理大臣 佐藤栄作殿

1965 34J アメリカの北爆に反対するアピール

1965年2月13日

 卒直に申して、世界平和を願う私どもは、最近のベトナム情勢をめぐる容易ならぬ国際的な動きに、深い憂慮の念を禁じえないものであります。

 南ベトナム駐留のアメリカ軍に対する「ベトコン」の攻撃は、一層の激しさを加えてきました。一方、北ベトナムに対するアメリカ軍の爆撃が、またしてもくりかえされその規模もひときわ大きくなりました。南北ベトナムの関係は、いま朝鮮戦争の前夜を想わせるものがあります。アメリカに対する中国の態度はさらにきびしいものとなってきました。そして、アメリカと共に平和共存への道を模索していたソ連でさえ、北ベトナム支持の立場から、アメリカに対して強い対立的な態度をとらざるをえないとしています。

 このような事態は、世界の平和をひたすら願う私どもとして、とりわけアジアに住む私どもとしまして、心配にたえぬところであり、これをいくら強調しても強調しすぎるということはありません。ことに、私どもの最も怖れておりますのは、こうした動きの悪循環と、破局への発展であります。ローマ法王パウロ六世が、人類はふたたび平和の前途を懸念しなければならなくなったといわれたのも、同じような考えからでたものでありましょう。この恐るべき事態の発展だけは、どのようにしてでも閲係諸国において防がなければならないと思います。

 つきましては、今世界において最も巨大な力を持ち、またベトナム情勢収拾の鍵をにぎるアメリカの最高指導者であられる貴下に、ぜひ一、二ご留意をえたいことがあります。その一つは北ベトナムと南ベトナムの「ベトコン」との関係であります。アメリカでは、「ベトコン」に対する北ベトナムの援助がしきりに彊調され、そこに「ベトコン」の力の源泉があるようにいわれていますが、私どもの理解しているところでは、ことはやや違うように感ぜられます。少なくとも、「ベトコン」に対する北ベトナムの軍事援助が、南ベトナム政府に対する貴国の援助にくらべて、兵員や兵器の量と質とにおいて、問題にならないほど小さなものであることは、衆目の一致するところでありましょう。事実、アメリカ軍に対する「ベトコン」の攻撃も主として貴国が南ベトナム政府にあたえられた兵器でなされていると報道されています。

 一方「ベトコン」の全行動は決して北ベトナム政府の指令によって動いているのではなく、基本的には「ベトコン」は独自の動きをし、ことに最近はその傾向がますます強くなっているかに聞いております。しかも「ベトコン」は、南ベトナムの農民の多く、わけても貧農と深く結びついているとも聞いております。ここに、きわめて重要な皿点があろうかと存じます。従って、南ベトナム駐留アメリカ軍への「ベトコン」の攻撃に対しアメリカ軍が北ベトナムを爆撃することは、国際情勢の悪化を強めこそすれ、問題の根本的な解決にならないというのが、私どもの認識であると共に信念であります。

 貴下のご考慮をえたい第二の点は、「ベトコン」の問題、南北ベトナムの関係をも含めて、ベトナムをめぐるすべての情勢は、政治的な話合いでこれを打開するほかに道はなく、軍事力の行使は事態を破局にみちびくか、少なくとも取り返しのつかないほど危
機を深めるであろうということです。

 現在の米中関係をお考えいただけば、この点は最も明らかになると思います。しかもインド、ビルマ、わが日本をはじめとしてアジアのほとんどすべての国々、ソ連、イギリス、フランスその他多くのヨーロッパの国々も、話合いによる問題の解決を求めております。貴国の国民にもこの底流は、必ずしも弱くないように思われます。世界の平和とアメリカの建国の理想を達成したいと願う貴国の友人たちから、私どもも、ベトナム問題の平和的解決をしきりに求める手紙を数多くいただいています。無論、話し合いの方式は一九五四年のジュネーブ会議その他いろいろあることで、その最もよい方式は、同会議の共同議長国であったイギリスやソ連を通じて関係諸国間できめてもよいでありましょう。それより当面最も重要な一点は、これ以上の軍事力の行使を即刻やめられ軍事の行使から政治的な話し合いへとはっきりと方向を切りかえることだと存じます。貴国政府としては、従来の行きがかりもあり、また貴国内の空気もあることで、これはたしかに勇気を要することかと考えられます。しかし、それであればこそ私どもは、失礼をもかえりみず、あえて貴下に直接訴えるわけであります。世界の平和のために、アジア情勢の正常化のために、また特に私どもが信じているアメリカのイメージのためにも、貴下の勇気と決断とを心から願うものであります。

1965年2月13日

世界平和アピール七人委員会

ジョンソン米大統領殿

1964 中国核実験に際してのアピール

1964年10月17日

 今回中華人民共和国が核爆発実験を強行したことは、放射能害の増大、核兵器所有国の増加を招く危険に拍車をかけるものであり、真に遺憾とするものであります。

 世界平和のために、現在続行しているアメリカの地下実験を含めて、あらゆる核実験に反対する私どもは、もとよりこれに反対せざるをえません。ついては、関係各国は、世界世論の切なる願いを実現するため、いかなる核実験をもやめ、できる限り速かに国際会議をひらき、核実験の全而的禁止をはじめとして完全軍縮への道を切りひらくよう強く要望いたします。

1964年10月17日

世界平和アピール七人委員会

1964 33J 中国核実験に際してのアピール

1964年10月17日

 今回中華人民共和国が核爆発実験を強行したことは、放射能害の増大、核兵器所有国の増加を招く危険に拍車をかけるものであり、真に遺憾とするものであります。

 世界平和のために、現在続行しているアメリカの地下実験を含めて、あらゆる核実験に反対する私どもは、もとよりこれに反対せざるをえません。ついては、関係各国は、世界世論の切なる願いを実現するため、いかなる核実験をもやめ、できる限り速かに国際会議をひらき、核実験の全而的禁止をはじめとして完全軍縮への道を切りひらくよう強く要望いたします。

1964年10月17日

世界平和アピール七人委員会

1964 原子力潜水艦寄港の政府内諾に反対する茅委員の談話(要旨)

1964年8月28日

 伝えられるところによると政府が近くアメリカ原子力潜水艦の寄港を受諾するという。この問題については昨年一月から各方面で一年八カ月にわたり論議されており、とくに潜水艦の廃棄汚染物が安全かどうか論議されてきた。

 昨夜(二十六日)権威ある原子力委員会では受諾しても差しつかえないという結論をだしたときくが、その内容についてまだ見ていないし検討もしていないので批判は避けたい。こんどの原子力委の決定は、まだどんな根拠、経過で行なったかわからないし、多くの専門学者にとって批判の余地があるものと思う。

 こうした問題は専門学者が十分論議し国民が納得したうえで決定すべきで、国民の大部分が納得してないもとで受諾することは適当ではないし、無益な対立を生ずる。それにインドシナなどで国際情勢が緊張しているおり、日本が原子力潜水艦の寄港を受諾することは国際的にも誤解を招き時期としても適当でない。

 政府は正式受諾決定まで慎重な行動をとるよう心から要望してやまない。

(1964年8月28日付読売新聞)