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2026 170J 米国とイスラエルのイラン攻撃は許容できない ―世界史的な危機を克服するためにー
東京都西東京市にて 2026年3月16日
世界平和アピール七人委員会
大石芳野 小沼通二 池内了 髙村薫 島薗進 酒井啓子
最高指導者アリ・ハメネイ師の虐殺を含む、2月28日に開始されたイスラエルと米国によるイラン攻撃の拡大が続き、収束のめどがつかない。攻撃の目的も次々に大きく揺らいでいてあいまいであり、道理を欠いている。米国とイスラエルはイラン攻撃の非を認め、直ちに停止するとともに、多数の死傷者をもたらし人道に背くイスラエルのガザ攻撃の過ちをも認め、この地域での対外攻撃をやめ、イスラエルは占領地から撤退すべきである。
第二次世界大戦終了後、早くも1945年10月24日に国際連合が発足して、国際的なすべての対立・紛争は戦争に訴えることなく対話と交渉と協力によって解決することを取り決めた。それと同時に、力によって他国を支配する植民地主義を克服し、自国の運命は自国で決める各国の主権への不干渉や領土保全を尊重する国連憲章の下で世界は動き始めた。以来、国連憲章違反が起これば、さまざまな紆余曲折はあっても、国連の仲介の下で戦争を抑止し暴力が支配しない世界へ向かおうという意思はかろうじて共有されてきた。
しかし、2022年2月24日に始まったロシアによるウクライナへの一方的侵攻以来、剥き出しの力に頼る論理があたかも正論であるかのように横行するようになってきている。イスラエルのガザ攻撃、米国のベネズエラ攻撃と続き、この度のイラン攻撃である。世界一の軍事力と経済力を背景にした米国がその威を借りるイスラエルとともに、また西半球では単独で、次々と犯す暴挙に対し、ロシアのウクライナ侵略を非難した欧州諸国はそれを強く非難できず、国連を中心とした世界世論は戦火の拡大を抑えることができずにいる。世界の歴史は一気に2つの世界大戦に先立つ帝国主義の時代に戻ってしまった感がある。
このまま暴力支配に地球が覆われていくなら、植民地主義と世界大戦の時代を超えてようやく確認し合うかに見えた人類的な平和への共同意思が失われてしまう。今や、多様性を認め、互いの人権を尊重し合い、平和を尊ぶ文明が破壊され、人類の未来が危うくなる危機的状況である。私たちは、暴力で支配されてしまう地球で人は安らかに生きていくことはできない。国際法を無視して他国に攻撃を仕掛けているロシアやイスラエルや米国に対して、また、武力による他国や他地域への攻撃・支配に反対し、すべての関係国が国際法を遵守して対話と交渉という平和的な手段による解決を図ることを求めたい。
日本政府は、平和主義と人権尊重を掲げる憲法に基づき、力の支配に屈しようとする世界の動向に異議を唱え、平和を求める役割を果たすべきである。現在の日本の政府と与党にはその自覚がほとんど見えず、米国への従属を強める姿勢では、国際的な評価は低下するばかりである。日本が目指すべきは世界史的視野に立った平和のための政治であり、そのことを具体的な行動で示していくべきである。
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アピール「米国のトランプ大統領に抗議する」を発表
2026 169J 米国のトランプ大統領に抗議する
東京都西東京市にて 2026年1月4日
世界平和アピール七人委員会
大石芳野 小沼通二 池内了 髙村薫 島薗進 酒井啓子
私たち世界平和アピール七人委員会は、米国による昨日のベネズエラ首都攻撃と大統領拘束、米国への連行、米国によるベネズエラ「運営」との方針に強く抗議する。
これは公海上における無抵抗の民間人の殺害に続き、国際法と国連憲章を完全に無視し、自国の欲望を求めるために、正当な理由なく、他国の政府を力で排除する暴挙である。これは悪しき前例になり戦争を引き起こす途であって、許すことはできない。
米国大統領は直ちに原状に復帰させ、ベネズエラへの干渉を止めなければならない。
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アピール「核兵器依存・軍備増強をやめ、対話重視に基づく安全保障を」を発表
2025 168J 核兵器依存・軍備増強をやめ、対話重視に基づく安全保障を
2025年12月29日
世界平和アピール七人委員会
大石芳野 小沼通二 池内了 髙村薫 島薗進 酒井啓子
日本では核兵器を「持たず、つくらず、持ち込ませず」との非核3原則が1967年に佐藤栄作首相によって表明され、1971年から度重なる国会決議によって、この原則が国是とされてきた。しかるに、核兵器持ち込み、核兵器共有、独自の核兵器保有など核兵器への依存を強める考えを唱える複数の政治家があらわれるに至っている。その中で、高市早苗首相に対し安全保障政策に意見具申をする立場の首相官邸幹部が、「日本は核兵器を保有すべきだ」と報道陣に対して12月18日に述べたと報じられた。
この発言に対して厳しい抗議の声が続き、国外からも批判が出されている。国外からは、日本が原子力発電所の使用済核燃料から再処理によって取り出したプルトニウムを40トン以上所持していることに対して、核兵器保有への意図があるのではないかとかねてから危惧が持たれてきた。今回の発言は、日本政府が核兵器禁止条約に距離を取り続けていることと併せて、国際的な危惧を著しく強めるものになる。それにもかかわらず、この報道を当事者は取り消しておらず、首相も沈黙を続けている。沈黙は否定しないという意思を表すものととらえられている。
日本では、広島・長崎への原爆による残虐な被害、ビキニ核実験による広範囲な被ばく被害を経験し、今後世界のどこであっても絶対に核兵器が使われてはいけないという決意が共有されてきた。世界を見れば、核兵器禁止条約が発効し、署名国が95、批准国が74に達している。しかし一方で、核兵器保有国と核の傘といわれる拡大抑止政策に依存する日本を含む国々もある。ここでよく考えてみれば、「核兵器は安全を保障するのであって、いかなる場合であっても使用することがない」というのであれば、核兵器を保有する意味は完全になくなるのである。したがって、核兵器に依存する政策は核兵器使用を認めることなのである。これは絶対に許すことはできない。核兵器禁止条約の内容は、先入観を持たずに読めば、日本の大多数の国民が希求してきた考えと完全に一致している。
日本は、核依存からの脱却を目指すという姿勢を後退させるべきではない。非核三原則は、留保なく明確に守らなくてはならない。核兵器禁止条約への参加を目指すべきである。
戦後80年といわれた1年が終わろうとしている2025年は、広島・長崎への原爆投下と国連発足から80年、核兵器と戦争の廃絶を訴えたラッセル-アインシュタイン宣言や同様の趣旨でノーベル賞受賞者の会が翌週発表したマイナウ宣言、そして国連の抜本的改革を提案した私たちの世界平和アピール七人委員会発足から70年の年であった。
残念なことに、地球上では現在も非戦闘員にまで甚大な非人道的被害を与える戦火がなくなっていない。核兵器禁止条約が発効したにもかかわらず、ほかの大量破壊兵器禁止と異なり核兵器は公然と保有されている。すでに述べたように、核兵器を抑止力として安全を保障しようという国も存在している。対人地雷など戦後の長期間にわたり被害を与え続ける非人道兵器も、禁止条約が存在するにもかかわらず、なくなっていない。1977年のジュネーブ諸条約第1追加議定書(56条)によって、ダム、堤防、原子力発電所のように攻撃の対象にすることが禁止されている施設の戦場化も行われている。力の行使と威嚇によって世界に君臨しようとする大国が、地球に暗い影を落としている状況が続いている。
戦後に発足した国連の理念を提示した国連憲章は、20世紀の二つの世界大戦を踏まえて、「言語に絶する悲哀を人類に与えた戦争の惨害から将来の世代を救い」、「武力を用いないことを原則の受諾と方法の設定によって確保」するとその前文に記している。「国際の平和及び安全を確保すること」、「国際的の紛争又は事態の調整又は解決を平和的手段によって且つ正義及び国際法の原則に従って実現すること」が国連の目的であり、「すべての加盟国は、その国際紛争を平和的手段によって国際の平和及び安全並びに正義を危くしないように解決しなければならない」とも述べている。こうした国連憲章の文言は、戦後80年を経た現在も色褪せておらず、人類社会が共有すべき平和の理念を指し示している。
そのうえで日本国憲法を見れば、その理念は国連憲章に一致するのみならず、さらに戦争の放棄、戦力不保持、交戦権を認めないことまでも宣言している。この理念は将来にわたって変更してはならないものである。ところが昨今の日本では、安全保障について安倍政権以来、専守防衛政策を放棄し、日本国憲法から逸脱した反撃能力・敵基地攻撃能力の獲得を掲げ、軍備拡充を政府の政策として執っている。これは国力を疲弊させ、周辺国に軍備増強の口実を与え、武力による威嚇を引き起こすことに繋がるものであり、日本の安全を強化することになっていない。意見が異なる相手であれば、なおさら対話と交流を深め信頼醸成を目指すべきである。
少子高齢化、財政赤字であって、食料・エネルギー自給率の低い日本が軍備強化に走れば、国力が低下することは自明である。脅威を与えなければ、脅威を受けることも減少し、なくなる方向に向かうことは歴史の教訓である。戦後90年に向かう第一歩の新年を迎えるにあたり、国連憲章と日本国憲法に記された平和と、戦後に積み重ねられてきた核兵器に依存しない世界への意思を持続させ強化させることを訴えたい。
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西東京新春講演会のお知らせ
アピール「ガザの人びとの殺害と飢餓を止めるために」を発表
2025 167J ガザの人びとの殺害と飢餓を止めるために
2025年8月29日
世界平和アピール七人委員会
大石芳野 小沼通二 池内了 髙村薫 島薗進 酒井啓子
イスラエルの攻撃を受けているガザの人々の状況は悲惨きわまりないものだ。ガザ保健省によると、2023年10月にガザでの戦闘が始まって以降のパレスチナ人の死者数は2025年7月末の段階で6万人を超え、うち子どもが1万8千人以上だという。25年1月にかろうじて戦闘停止に持ち込まれたが、3月には戦闘再開され、それ以降も犠牲者は増大し、1日の死者が100人を超える日も増えている。
さらに国際的な援助団体を排除して、イスラエルが米国の支援を受けて2025年2月に創設し、5月末から活動を本格化させた非政府組織「ガザ人道財団(GHF)」が食糧の供給を行っているがその量がまったく足りるものではなく、国連の専門家らは8月5日に連名で深刻な懸念を表す声明を出している。
ガザ人道財団(GHF)」の活動は「人道」の名にも、支援団体の名にも値するものではない。GHFは、これまでパレスチナ難民支援を担うUNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)をはじめとする国連の諸機関が行ってきた支援業務を引き継ぐというが、実際にはイスラエル軍および外国の軍事請負業者が、GHFの「配給拠点」で支援を求める人びとに無差別に発砲し続けてきた。国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)の7月末の報告によると、5月末以降、少なくとも約1400人のパレスチナ人が食料を求めて殺害されたという。とりわけ、女性、子ども、障害者、高齢者など、最も脆弱な状況にある人びとにとっては、支援にアクセスすることが著しく困難になっている。
こうした状況のもとで子どもの飢餓は深刻化し、栄養失調は5人に1人になるという。国連事務総長は8月22日の段階で、すでに飢饉(famine)というべき事態だと国際社会に訴えている。国連安全保障理事会のアメリカを除くすべての理事国は27日、パレスチナのガザ地区での飢饉の発生について共同声明を発表し、「人為的な危機だ」と厳しくイスラエルを非難している。
私たちはガザの人びとのいのちに関わる事態をどこまで知っているだろうか。とりわけ子どもたちの肉体と精神に及ぼす環境の劣悪さを知り得ているだろうか。爆撃・銃弾という恐怖と、飢餓という悲哀で子らを追い詰めた劣悪な状況は深刻だ。そして、イスラエル政府とイスラエル国防軍(IDF)は子どもたちを飢餓に落とし込み、死には至らなくても無力な状態を強い、他地域へ追いやろうとしている。そうしてガザ地域全体をわがものにしようとしている。民族浄化作戦と言わざるをえない。
とくに私たちは、イスラエルの攻撃では、救援にあたる人たちや医療関係者のほか、事実を伝えようとしている数多くのジャーナリストが攻撃されていることに注意を促したい。彼らを狙い撃ちして殺し、世界の人々に事実を隠して、飢餓と殺戮が行われていることは、国際法と人道に照らして許しがたいことである。
この地球上で生きる人間同士として、私たちと同時代に起こっているこのジェノサイドを止めるために何ができるだろうか。ガザの子どもたち、そしてかろうじて生き延びようとしている人たちのために私たちは何ができるか。微力でも考えながら声を発することはできる。ひとりひとりの声は小さくても、つながりあって声を強め、世論に訴え、自国の政府に働きかけていくことはできる。
こうした事態をよくよく承知している日本政府や日本の企業家らが、イスラエルの軍事産業やセキュリティー技術を日本に持ち込むことに積極的な姿勢を示し続けていることは理解に苦しむ。9月4日に開かれる「サイバーテック東京2025」がイスラエルの後押しになることを認めなくてはならない。軍事や安全保障で積極的に協力関係をおし進め、経済的利益を提供しようとしている国に対し、ジェノサイドを止めるよう求めることができるだろうか。
パレスチナに平和が訪れることは、ひいてはイスラエルを含む中東全体の安定につながる。戦争による軍事強国の支配の拡大を許さない方向に世界を向けていくことにも寄与できる。国際社会でそのような方向性を支持する国々は多い。日本の政府もその方向に歩を進めることができるはずだ。それは現代世界の平和に向けた大きな方向づけにもつながるだろう。
ガザの子どもを、そして苦しむガザの人びとを護るための国際的な連携に、日本の政府が積極的に加わることを求めたい。日本政府はパレスチナ国家を承認し、イスラエルが停戦を受け入れるよう国際社会に働きかけることができるはずだ。そのようにして日本の国が世界の平和への歩みを押し進めることを求めよう。
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