中東における全面的な戦闘行為の突発と、これをめぐる危機情勢の拡大の恐れに、私どもは深い憂慮の念を禁じえません。ことに現在、ベトナム戦争になんらの解決の動きもみえないばかりか戦いが激化とエスカレーションの一路をたどっている時でもあります。そのうえ、フランスは太平洋のムルロア環礁でまたしても核爆発実験を強行しはじめました。これは、放射能害の累増、軍縮交渉停滞への新たな原因となっているだけではありません。すでに不安な国際的空気をさらにかき立てることになると思われます。
私どもの最も恐れるのは、こうした事態の連鎖反応が第三次世界大戦への危険を深めることにあります。大戦への危険については、ウ・タント国連事務総長がベトナム戦争に関連して重大な警告を発している事実を、私どもは忘れてはなりません。
実状がこうしたところまで来ている以上、関係各国は現在の容易ならない事態にひそむ危険を、あくまで真剣に考え、この危険の激発をくいとめ、情勢を収拾するために全力を傾倒しなければならないと信じます。それには、中東では戦うすべての国が国連安全保障理事会の決議に従って即時停戦し、一日も早く戦争前の状態に立ち帰らねばなりません。そして、その間、大国は厳正中立の態度を堅持すべきです。またベトナムでは、すみやかに北爆が停止されこれを手がかりとして関係国間で休戦交渉への道を必死にさがし求める努力がなされるべきであります。
さらにすべての国は、戦争に対してはいかなる面でも協力しないとの立場をとり、これをつらぬかねばならないと思います。またフランスに核実験の停止を求めることはいうまでもありません。
世界の平和が脅かされることは、すべての国の存立が脅かされることを意味します。
戦う国々には無論のこと、他の全関係諸国に対し、自国の繁栄と、国民の幸福のために、そして世界の平和のために現在きわめて危険な事態について強く訴えたいと思います。
1967年6月7日
世界平和アピール七人委員会