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1974 69J フランスの核実験に抗議する

1974年6月20日

 われわれは貴国が南太平洋で核実験を行おうとしたとき、その都度その中止を強く要望してきましたが、貴国は国際世論の反対にもかかわらずそれを強行してきました。

 今回貴国は再三国際世論を無視し、あえて実験を行いましたが、われわれはそれを極めて遺憾とするものであります。核兵器の被爆を現実に受けた国民として、われわれは真の平和は核競争によっては決してもたらされず、それは核兵器の全面的廃棄によってのみはじめて実現されること、したがって大国、小国を間わず、いかなる国のいかなる核実験もその方向に逆行するものとして反対せざるをえません。

 以上の理由によってわれわれはここに今回貴国の行った核実験に対しくり返し反対を表明し、それに強く抗議いたします。

1974年6月20日

世界平和アピール七人委員会
       上代  た の
       茅   誠 司
       大河内 一 男
       朝永  振一郎
       植村    環
       湯川  秀 樹
事務局長 内山  尚 三

フランス共和国大統領 バレリー・ジスカール・デスタン殿

1974 70J 中国の新たな核実験に抗議する

1974年6月20日

 核兵器の被爆を現実に受けた国民として、われわれは真の平和は核競争によっては決してもたらされず、それは核兵器の全面的廃棄によってのみはじめて実現されること、従って大国、小国を問わず、いかなる国のいかなる核実験もその方向に逆行するものとして反対してきました。

 しかるに貴国はこれまで数度の実験に加えて今回また新たな実験を行いました。このことはさきに行われたインドの実験、およびフランスのそれと伴い、あらためてわれわれを深く憂慮させるのであります。

 われわれはこれまで貴国の実験に対してその都度反対を表明してきましたが、今回のそれに対してもまた反対し抗議せざるを得ません。それとともに、貴国がかつて声明されたようにすべての核保有国が、最初に核兵器を使用しないと宣言すると同時に、最終的にはその全面的廃棄を実現するよう、貴国の積極的努力を重ねて要望いたします。

1974年6月20日

世界平和アピール七人委員会
      上代  た の
      茅   誠 司
      大河内 一 男
      朝永  振一郎
      植村    環
      湯川  秀 樹
事務局長 内山  尚 三

中華人民共和国首相 周恩来殿

1974 68J 政府は核拡散防止協定を批准せよ

1974年5月25日

 インドが第六の核保有国に加わったことは、極めて憂慮すべき事態であるとわれわれは考えます。現在、潜在的核保有力を持つ国が少なからず存在している状況のもとにおいて、米ソ両大国をはじめ多くの国ぐには、力の均衡による平和維持の政策を固持しています。しかしこの種の均衡は極めて微妙なものであって、一つの均衡の破れは、それが如何に小さなものであっても、脅威を感ずる他の国に大きな影響を与え、何らかの歯止めが存在しない限り、それは必然的にとどまるところのない核の拡散をもたらすものと思われます。

 このような核拡散の連鎖反応が、現在の危機を打開する真の解決をますます困難なものにすることは、すでに多くの人びとの指摘するところであります。

 ジュネーブ軍縮委員会で、わが国の西堀大使がインドの核実験を、核兵器の拡散を防止したいとする国際的努力と世界世論に反するものであるとして、遺憾の意を表したのも、以上のことを考慮されたからであろうと思います。

 われわれは、この憂慮すべき状況を打開するために、わが国のとるべきみちは、非核三原則をあくまで堅持し、一日も早く核拡散防止協定を批准することであると考えます。そしてさらに進んで、現在何らの国際的取りきめもなく放置されている地下核実験に関しては、大国小国を問わず、そのほしいままな遂行が国際協定によって一切禁止されるべきことを、また大国に対しては自らの核軍縮に向って積極的に取り組むべきことを、国連はじめあらゆる場、あらゆる機会に主張することにあると考えます。

 われわれは政府が、すべての国に率先して、このことの実現のために格段の努力をするようここに強く要望致します。

1974年5月25日

世界平和アピール七人委員会
      上代  た の
      茅   誠 司
      大河内 一 男
      朝永  振一郎
      植村    環
      湯川  秀 樹
事務局長 内山  尚 三

内閣総理大臣 田中角栄殿

1973 67J 田中角栄首相への要望書

1973年7月28日

 総理は明日アメリカを訪問し、ニクソン大統領と会談されようとしています。またそれに続いて秋には欧州諸国及びソ連の首脳との会談が行われるとのことであります。

 われわれは総理の健闘を期待するとともに、この機会に次のことを要望致したいと思います。何よりも先ずわが国が世界にまれな憲法を持っていることを想起したいのであります。このたびの会談においても、今や大きく成長したわが国の分担すべき国際的責任が論ぜられることと思いますが、アメリカから言われるまでもなく、わが国の憲法の精神からみても、わが国は世界の平和のため、また世界各国国民の幸福のため、積極的に努力し、特に開発途上国の生活向上、福祉増進のために、手をさしのべる責務があると考えます。

 といいますのは、わが国が軍備を拒否し、不戦の決意を憲法に明記したのは、単に戦争によって諸国民を不幸におとしいれない、という消極的な意味を持つだけでなく、例えば軍備を拒否することによって生じた大きな余力を私しすることなく、進んで世界各国、とくに開発途上国のために、無償の奉仕として提供するという、積極的な行為がそれに伴うべきだと、われわれは考えるからであります。なぜならば憲法にかかげられた「国際社会において名誉ある地位を占めたいと思う」という念願は、この努力があってはじめて達せられると信ずるからであります。

 この前提にたって、とくにアメリカとの関連について言いますならば、わが国民の大きな関心事の一つである、わが国内の米軍基地、とくに沖縄に於ける基地の問題があります。これらの基地の存在が周辺住民の生活に与える好ましくない影響から、日米両国の親善関係が損なわれることをわれわれは憂慮せざるをえません。さらに日本国民の中に、これらの基地がベトナム戦争に用いられ、多くのベトナム人を泥沼のような戦争にまき込んだことを見て、基地の存在が果たしてアジアの平和のために役立つのであろうか、という疑問を持つものが少なからずおる、という事実も忘れることはできません。われわれは、この様な国民感情がアメリカによって正当に理解されるよう、総理のご努力をお願いしたいのであります。

 ところで以上のことと関連して、かつて大平外相が卒直に言われたように、アメリカのわが国に対する理解が十分でないという問題があります。しかし、この点については、わが国がそのためにこれまでどんな努力をしたかということを考えるとき、アメリカのみを責めることはできないと思います。

 言うまでもなく、異なる文化や伝統を持ち、したがって異なる価値観をもつ国々が、互いに理解し合うということは、一朝一夕にできるものではありません。政治や経済上の問題についての相互理解も、相互の国の価値観のちがいを理解することなしに達することはできないと考えます。そういう理由で、多くの国々は自国の文化について、他の国の正しい理解を得るために大きな努力をしております。

 わが国は、貿易のためには諸外国に宣伝に努めてきましたが、文化にかんする正しい理解を得ることについては、努力が足らなかったように思われます。総理はこの問題について十分考慮されていると聞いておりますが、なお一層のご努力を要望致したいと思います。

 重ねて申しますが、世界にまれな憲法をもつわが国は、国際社会において独特の立場で寄与すべきであるということを、われわれは信ずるものであります。

1973年7月28日

世界平和アピール七人委員会
       上代  た の
       茅   誠 司
       大河内 一 男
       朝永  振一郎
       植村    環
       湯川  秀 樹
事務局長 内山  尚 三

内閣総理大臣 田中角栄殿

1973 66J 中国の核実験に強く抗議する

1973年6月28日

 いかなる国、いかなる形のものであろうと、核実験に対し、常に反対してきた私どもは、貴国がこのたびあえてした大気圏内の核実験に強く抗議致します。

 言うまでもなく、大気圏内の核実験は、世界平和を脅すばかりでなく、地球環境の汚染に拍車をかけるものであります。

 さらにまたフランスの核実験予定に対し、国際世論は激しく反対しており、国際司法裁判所も中止を要請しています。

 貴国のいうように、すべての核保有国がいかなる時、いかなる状況のもとでも、最初に核兵器を使用しないと宣言すると同時に、最終的には核兵器の完全禁止と全而的廃棄を実現するよう、要望致します。

1973年6月28日

世界平和アピール七人委員会

中華人民共和国首相 周恩来殿

1973 65J フランスは核実験を中止せよ

1973年5月29日

 貴国は、国際世論の猿い反対にもかかわらず、南太平洋で核実験をあえて行なおうとしています。

 言うまでもなく、大気圏内の核実験は、世界平和を脅すばかりでなく、地球環境の汚染に拍車をかけるものであり、人類の生存にとって許し難い行為であります。

 貴国は、全ヨーロッパ安全保障体制の樹立というソ連の要求に進んで賛成されていますが、これは軍事よりも政治を重視する考えにもとづくものと思われます。

 このたびの核実験は、こうした動きにも矛盾するものであり、まことに遺憾であります。

 世界唯]の被爆国として、核兵器の廃絶を念願する私どもは、貴国が核実験を中止するよう、強く要望致します。

1973年5月29日

世界平和アピール七人委員会
      上代  た の
      茅   誠 司
      大河内 一 男
      朝永  振一郎
      植村    環
      湯川  秀 樹
事務局長 内山  尚 三

フランス共和国大統領 ジョルジュ・ポンピドー殿

1972 64J 北爆再開に強く反対する

1972年12月20日

 パリ会談が妥結し、インドシナ半島全体にわたり戦闘が停止されることは、全世界の人々の強い念願でありました。

 しかるに貴国は、北ベトナムをして速かに停戦協定を受諾させるために、北爆を再開致しました。力の政策が問題打開の有効な手段ではありえないと考えるわれわれは、これに対し強く反対致します。

 そもそもジュネーブ会談以来の経過をみてもわかるように、力の行使は常に双方の不信を強め、戦争をエスカレートするだけでありました。

 それによって戦争の悲惨さは、言語に絶するものにまでなってきたのであります。現在の膠着状態を打開するために再び力を用いることは、解決をうながすことにはならず、却ってそれをおくらせ、事態をますます悪化させると思います。

 そしてさらに最悪の場合には、収拾できない泥沼状態に陥るであろうことを、深く憂慮せざるをえません。

 われわれは、かねてから力の政策にもとづく北爆は、ベトナム戦争を解決することにはならないことを主張してきましたが、ここにあらためて訴えざるをえません。

 貴国が即時北爆を停止し、十月二十六日発表案の線にたちもどり、ベトナム和平を実現すべく、理性と人道の立場に立って、話し合いを再開されることを要望致します。

1972年12月20日

世界平和アピール七人委員会
      上代 た の
      茅誠   司
      朝永 誠一郎
      植村   環
      湯川 秀 樹
事務局長 内山 尚 三

アメリカ合衆国大統領 リチャード・ミルハウス・ニクソン殿

1972 63J フランスに核実験の中止を要望する

1972年6月26日

 貴国は、国際世論を無視して、ムルロア環礁で核実験をあえておこなおうとしています。

 言うまでもなく、大気圏内の核実験は、地球環境の汚染に拍車をかけるものであり、人類の生存にとって許し難い行為であります。
 貴国が重要な地位にあるヨーロッパでは、現在冷戦に終止符がうたれようとし、全ヨーロッパ安全保障機構の樹立をめざして、交渉がおこなわれる情勢にあります。

 これはヨーロッパが全世界の中で緊張緩和の先達になろうとし、軍事よりも政治を重視とする考えにもとづくものと思われます。

 貴国のこのたびの核実験は、こうした動きにも逆行するものであり、遺憾であります。世界唯一の被爆国として、核兵器の廃絶を念願する私どもは、資国が核実験を中止するよう強く要望致します。

1972年6月26日

世界平和アピール七人委員会
       上代 た の
       茅誠   司
       朝永 振一郎
       植村   環
       湯川 秀 樹
事務局長 内山 尚 三

フランス共和国大統領 ジョルジュ・ポンピドー殿

1972 62J 中国の核実験に強く抗議する

1972年3月20日

 貴国がこのたびあえてした大気圏内の核実験に、いかなる国、いかなる形のものであろうと、核実験に対し常に反対してきた私どもは強く抗議いたします。

 周知のとおり、現在、ジュネープで軍縮委員会が開かれておりますが、米ソなど超大国をはじめ他の中小諸国も、国連復帰後の貴国の参加を望んでいます。貴国がこの会議にはいれば、従来出席を渋っていたフランスもこれに出席せざるを得ず、そうなれば核保有国のすべてが参加することになります。その結果、大気圏内外、水中、地下などあらゆる地域における核実験の禁止が討議され、核軍縮への道が大きく踏み出されるでありましょう。

 しかるに今回の実験は、軍縮委員会への参加要望に対し貴国が拒否の回答をしたものだとうけとられるかもしれません。

 私どもは、このことを深く憂慮いたします。今回の実験を最後として、これをくり返えさないよう要望いたします。

1972年3月20日

世界平和アピール七人委員会
       上代 た の
       川端 康 成
       茅誠   司
       朝永 振一郎
       植村   環
       湯川 秀樹
事務局長 内山 尚三

中華人民共和国首相 周恩来殿

1972 61J 中国の核実験に抗議する

1972年1月10日

 貴国は、またしても大気圏内核実験をあえてしました。まことに遺憾であり、ふたたびかようなことのないよう強く求めざるをえません。私どもは、あらゆる核実験に反対し、激しくこれに抗議するものです。

 この際、貴国のいうように、すべての核保有国がいかなるとき、いかなる状況のもとでも最初に核兵器を使用しないと宣言すると同時に、最終的には核兵器の完全禁止と全面的廃棄を実施するよう、世界会議を開いてこれを討議するとの構想を、速やかに実行に移されんことを希望します。

1972年1月10日

世界平和アピール七人委員会
       上代 た の
       川端 康 成
       茅  誠 司
       朝永 振一郎
       植村   環
       湯川 秀 樹
事務局長 内山 尚 三

中華人民共和国首相 周恩来殿