1972 63J フランスに核実験の中止を要望する

1972年6月26日

 貴国は、国際世論を無視して、ムルロア環礁で核実験をあえておこなおうとしています。

 言うまでもなく、大気圏内の核実験は、地球環境の汚染に拍車をかけるものであり、人類の生存にとって許し難い行為であります。
 貴国が重要な地位にあるヨーロッパでは、現在冷戦に終止符がうたれようとし、全ヨーロッパ安全保障機構の樹立をめざして、交渉がおこなわれる情勢にあります。

 これはヨーロッパが全世界の中で緊張緩和の先達になろうとし、軍事よりも政治を重視とする考えにもとづくものと思われます。

 貴国のこのたびの核実験は、こうした動きにも逆行するものであり、遺憾であります。世界唯一の被爆国として、核兵器の廃絶を念願する私どもは、資国が核実験を中止するよう強く要望致します。

1972年6月26日

世界平和アピール七人委員会
       上代 た の
       茅誠   司
       朝永 振一郎
       植村   環
       湯川 秀 樹
事務局長 内山 尚 三

フランス共和国大統領 ジョルジュ・ポンピドー殿