貴下がこのたびのキューバ危機の打開のために、最善の努力を傾倒されていることに対して深く敬意を表します。
貴下が、国連憲章の精神を貫徹され戦争ぽっぱつの危険を除くため根強く努力を続けられることを切望します。
1962年10月27日
ウ・タント国連事務総長殿
貴下がこのたびのキューバ危機の打開のために、最善の努力を傾倒されていることに対して深く敬意を表します。
貴下が、国連憲章の精神を貫徹され戦争ぽっぱつの危険を除くため根強く努力を続けられることを切望します。
1962年10月27日
ウ・タント国連事務総長殿
わが広島と長崎に原爆が投下され、一瞬にして三十万人の同胞に死傷をもたらしたその日から丁度十七年の歳月がたち、わが国においては世界各国から、平和を愛好する人達が集まり、各所において核実験禁止のための催しが行われております。またジュネーブにおける軍縮会議では、核実験禁止のための新しい提案がなされつつあり、合意による協定成立のために、真剣な努力が続けられています。
しかるにこの時期において、貴下があたかも問答無用の態度をもって、大型の核兵器実験を再開されましたことは、核実験禁止に対する人類の要望を愚ろうするものと言うべく、遺憾の極みであります。
核実験はいかなる理由があろうとも、悪であり、人類の破滅につながるものであり、国際世論の支持をかち得ないものであることは、このたびの貴下の再開に対して、核実験を継続中のアメリカが、なんらの有効な抗議をもなし得ないことによっても明らかであります。
貴下はかつて自ら進んで核実験の停止を行った歴史を想起し、最後の実験を行う国としての不名誉を人類の歴史に残さぬよう、直ちに核実験を中止されることをわれわれは強く要望致します。
1962年8月7日
フルシチョフ・ソ連首相殿
このたびソ連が核実験を再開したことに対し、われわれは、別紙のとおり強く遺憾の意を表し、直ちにこれを中止するよう勧告致しました。
核実験は、いかなる理由があろうとも、結局は核競争という憂うべき悪欄堺を招き、ますます人類に対する核戦争の脅威をまし、決して世界の平和を達成する道ではありません。
貴下はこのたび、軍縮会議に核実験禁止協定のための新しい提案をなされようとしています。
われわれは、貴下の核停止実現への熱意と努力を多とするものであります。
しかしいかなる新提案も核実験を継続している限りは、決して国際世論の全面的な支持をうけることはできません。
貴下が新しい提案をするにあたり、直ちに貴国における核実験を中止されるようわれわれは強く要望するものであります。
1962年8月7日
ケネディ米大統領殿
貴下は、現在全人類の運命と世界歴史の方向を定める決定的な分岐点に立っています。
われわれは、貴下が世界平和に対する自己の重い使命と国際世論の切なる願いを考慮され、核実験再開についてもう一度考え直されることを強く要望致します。
1962年4月25日
ケネディ米大統領殿
この度、ジュネーブ十八力国軍縮委員会で、中立八力国が核実験停止協定の成立のために、国際科学者委員会の設立を中心とする新しい提案を行いました。
われわれは、この提案を慎重に検討した結果、現在のゆきづまりからくる恐るべき危機を打開するために最も妥当な提案と考えるし、またこれは逸すべからざる最後の機会であるとの結論に到達しました。
細部については、なお補足すべき点もあろうが、核実験停止協定の成立を願っている国際世論を十分考慮され、この提案を基礎として、一日も早く停止協力をまとめるため、最高の良心と最善の努力を傾倒されることを要望致します。
1962年4月18日
世界平和アピール七人委員会
貴下は、一年前に高い理想をかかげて大統領に就任されました。
その時、貴国の国民は勿論のこと、平和を希う全世界の国民が貴下に対して、大きな期待を抱いたことをご記憶のことと思います。
しかるに、このたび貴下は国際世論の要望を無視して、空中核実験の再開の決定を声明されました。これは貴下がソビエットの突如たる核実験再開後の事態を慎重に検討された結果と思います。しかし、いかなる理由があろうとも、このことは、結局は、軍備拡大競争という憂うべき悪循環を招き、ますます人姻に対する核戦争の衡威を墹すことになり決して世界の平和を達成する道ではありません。誠に遺憾であります。
貴下が、就任当初の次元の高い立場にかえり、全人類的立場からもう一度このたびの決定を思い直されるよう強く要望致します。
1962年3月4日
ケネディ米大統領殿
このたび貴下が、国際世論の要望を無視してあえて行った、超大型の核爆発の実験は、わが国にも多くの死の灰をもたらしつつあります。そのため核爆発による悲惨な体験をへたわが国民は、耐えがたい不安におそわれており、また世界平和の前途に対しても深く憂慮しております。
貴下が国際世論を無視して、頑強に固守しておられる力の政策は、決して緊張を緩和し、軍備の拡大を防ぐものではありません。
われわれは世界平和の実現のためには、隣国である貴国との、わだかまりのない状態が必要であると考えております。この点からも択国のこのたびの行為は、肭に遺螂であります。
貴下が直ちに、核実験を停止し、力の政策をやめられることを強く要望致します。
1961年10月29日
フルシチョフ・ソ連首相殿
このたびソ連が超大型の核爆発の実験をしたことに対して、われわれは別紙のとおり、強く遺憾の意を表し、すみやかにとりやめるよう勧告致しました。
現在においては軍事的優位が自国の安全を保ち、また自国に対する世界の尊敬を、かちとる道ではありません。
貴下はこのたびソ連が、国際世論のきびしい反撃をうけたことに対して深く思いをめぐらし、すみやかに核実験を停止し、完全軍縮をめざして、世界平和のために、あらゆる努力を続けられんことを要望致します。
1961年10月29日
ケネディ米大統領殿
このたび、貴下が、核実験の再開を声明されましたが、これはいかなる理由があろうとも、結局は力の政策に基づくものであり、誠に遺憾であります。
言うまでもなく、人類の幸福と生存に関する問題については、あくまで人道的立場が、政治的・軍事的立場に優位すべきであります。
これに反して、核実験が再開されるならば、必ずや軍縮交渉はより困難になり、国際緊張が、さらに激化すると思います。
われわれは、貴下が、核実験の決定を実施に移さないよう、もう一度考慮されることを、要望致します。
1961年9月1日
フルシチョフ・ソ連首相殿
このたび、ソ連が発表した核実験再開の声明に対し、われわれは別紙のとおり、強く遺憾の意を表明し、その実施を思いとどまるよう、勧告しました。
言うまでもなく、現在においては、軍事技術の優位は、自国の安全を保つ道ではありません。このソ連の声明に対して、平和を希う世界の民衆は、貴下がいかなる態度をとられるかを、注目致しております。
われわれは、この際、貴下が世界平和に対する自己の重い使命を考え、核実験の再開を致さないことは勿論のこと、ソ連の決定を、単なる声明に終わらしめるよう、あらゆる努力を続けられることを切望致します。
1961年9月1日
ケネディ米大統領殿