1967 原爆ドーム補修の起工式に際して

1967年4月10日

 本日原爆ドーム補修の起工式が挙行されましたことは、その保存を強く希っていた私どもとして、誠に喜びに堪えません。保存について長い間努力をつづけてこられました、浜井市長を始め広島市民の皆様に心からの敬意を表したいと存じます。特に喜びたいことは、この保存が海外を含め日本全国からの平和を希む多数の人達の善意で、できることになったことであります。

 ヴェトナムでは、今日なお悲惨な戦いがくり返され戦争解決の萌しさえも見えませんが、このような時に「原爆許すまじ」という日本国民の固い決意が原爆ドーム保存という形で結集され、世界に表明されましたことは、誠に意義深いことであります。

 私どもは党利党略を越え、多数の人達が一つの目的に力を結集すれば如何なることも達成されるということを原爆ドームの保存運動で知ることができました。

 私どもは原爆ドームの保存を出発点として、これから、長い間とり残され苦しみつづけている被爆者の援護のため力を尽してゆきたいと思います。平和に対する熱意がさめる時、イデオロギーや感情に走り平和のために力を結集することを忘れた時、この永久に保存される原爆ドームの前に立ち、自らの心を励まし、自らを反省していこうではありませんか。

1967年4月10日

世界平和アピール七人委員会
事務局 長内山尚三