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2021 150J 2022年を日本政府が核兵器廃絶に踏み出す年に!

2021年12月27日
アピール WP7 No.150J
2021年12月27日
世界平和アピール七人委員会
大石芳野 小沼通二 池内了 池辺晋一郎 髙村薫 島薗進

2022年に入るとすぐ、1月4~28日に核兵器不拡散条約(NPT)の第10回運用検討会議が予定されており、続いて核兵器禁止条約の第1回締結国会議が3月22~24日に開催されることになっている。

核兵器不拡散条約は、国連加盟国193カ国のうち、189カ国が参加している普遍的な条約である註。これまで核兵器保有国は、第6条の「各締結国は、核軍備競争の早期停止及び核軍備の縮小に関する効果的な措置につき、・・・誠実に交渉を行うことを約束する」との規定の交渉を全く実施してこなかった。2015年の第9回会議では、議長の最終文書案を、中東非大量破壊兵器地帯構想に反対する米国ほか数カ国が拒否して、採決できないまま終了した。

核兵器使用が非人道的であることは、日本政府も含めて、世界で認められている。核兵器の使用を確実に防ぐ唯一の方法は核兵器の廃絶である。日本政府は 核兵器の廃絶を目指し、核兵器国と非核兵器国の橋渡しの役を果たすと繰り返し言明してきた。岸田文雄首相は、『核兵器のない世界へ』と題する著書まで出して、「核兵器のない世界」に向けて国際的な取り組みを主導していくという固い決意を表明している。
そうであれば、現実がむずかしいといって何もしないのではなく、自らが核兵器に依存して安全を求める政策と決別し、双方と積極的な対話を行い、解決への糸口を探し、解きほぐしていくことから進めるべきである。

私たちは、今回の会議においては、「締結国が次回の運用検討会議までに誠実にかつ積極的にこの第6条の約束に従った交渉を行い、成果報告を行う」ための具体的な合意が得られるよう、日本政府が主導することを求め、会議が必ず最終合意に達することを求める。

 また、3月の核兵器禁止条約締結国会議にはNATO加盟国であるノルウェーとドイツがすでにオブザーバー参加を表明しており、対話が始まることは明らかなのだから、橋渡し役を自認する以上、日本もオブザーバーとして参加しなければならない。

私たち世界平和アピール七人委員会は、新しく迎える年を、核兵器廃絶を確実に進める節目の年とするよう呼びかける。

註 イスラエル、インド、パキスタンは、NPTに加盟していない。朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)は、2003年1月に脱退の自動的且即時発効を通告した。

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2021 149J 「民主主義の危機」を克服するために

2021年10月18日
アピール WP7 No.149J
2021年10月18日
世界平和アピール七人委員会
大石芳野 小沼通二 池内了 池辺晋一郎 髙村薫 島薗進

岸田文雄首相は9月29日の自民党総裁選挙で勝利が決まった直後の記者会見において、「今まさにわが国の民主主義そのものが危機にある」と述べた。果たして、この発言は彼の真意からのものであろうか。

2012年以来の安倍政権、菅政権では、首相が不正に関わっていても疑惑をはらすことができず、公共的な組織に対する不当な抑圧や、公私をわきまえない利益誘導をおこなう暴挙が相次いだ。そして、それらに対する説明は拒否し、批判には応答しないということが繰り返された。何より、国会においてその都度論議すべきであったのに、開催自体を拒否し続けた。このように政治の最高責任者が、意思決定の根拠を説明して国民に理解を求めることを拒否するのは民主主義の基本的条件を否定するものである。「国民の声が政治に届かない」事態が繰り返されたのである。

岸田新首相の10月8日の所信表明演説では、これまでの政権に問われてきた問題・疑惑に一切触れなかった。「丁寧な対話」といいながら、総選挙を前にして、国会においては代表質問だけにとどめ、与野党間の論議を行う姿勢を見せなかった。これでは「民主主義の危機」にまともに向き合っていく意思があるとは思えない。9年間に及んだ安倍政権、菅政権が繰り返し強権を振りかざし、異論を無視してきたことに対する国民の批判に、首相は正面から応えて、名目だけにとどまらない「民主主義の危機」の克服に努めるべきである。

国民の国政参加の重要な機会である総選挙における投票率の低迷とその背後にある無関心は、民主主義の危機をもたらしている重要な要因の一つである。国民一人一人が、現在問われている国政のあり方に思いをいたし、投票を通して積極的に意思表示されることをわたくしたちは願っている。

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2021 148J 人命尊重のコロナ政策最優先への根本的転換を

2021年8月28日
アピール WP7 No.148J
2021年8月28日
世界平和アピール七人委員会
大石芳野 小沼通二 池内了 池辺晋一郎 髙村薫 島薗進

新型コロナウイルス感染症蔓延拡大による医療崩壊の最大の責任は政府にある。政府は何よりも人々のいのちを守ることを目指し、医療崩壊の解消のために全力を尽くすべきである。ワクチン接種の促進だけでなく、PCR検査の拡大と治療体制の拡充のためにも資源を回すべきである。それによって、感染者が重症化したり死亡したり後遺症に苦しんだりすることがないように最大限の措置をとるとともに、陽性未発症者の発見と陰性者との分離を進めて、拡大の繰り返しを速やかに断ち切ることを強く求めたい。
科学的な知見に基づいて政府に助言をすべき専門家たちは、警鐘を鳴らす発言もしてはいる。だが、2020年の3月以来、政府に助言する立場にいた専門家が政府の意を汲んでPCR検査抑制の方向を維持したことで、感染拡大防止の基本的な対策がとれない状況を招いてしまったことへの反省が未だになされていない。その結果、日本では今でも検査数の不足が続いている。専門家は、政府の政治的配慮に基づく諮問内容に答える立場にとどまらず、科学的な知見に基づいて政府とは独立した情報発信を行うとともに、政府に対していのちを守ために行うべき施策についての科学的助言を積極的かつ強力に発し続けるべきである。

七月以来の感染拡大第五波において、発症者で入院を必要とする多くの人たちが、入院できず自宅療養へと追い込まれている。新型コロナウイルス感染症に罹患した妊婦が、入院先が見つからずに自宅での早産を余儀なくされ、生まれたばかりの赤子が死亡するという事例も報道された。自宅療養中に容体が悪化しても必要な医療措置を受けることができずにいのちを失う人、救急車を呼んでも患者の収容先が見つからず長時間を無為に過ごして自宅に戻される事例などが相次ぎ、保健所や医師・看護師からの連絡がとどこおり、家庭内感染も発生し、多数の患者と家族が不安をかかえている。
このような状況にあるにもかかわらず、政府は「自宅療養」を主軸とする対処で乗り切ろうとして、とりあえず応急的な対処ができる医療施設を設けることもほとんど行っていない。政府は公助の責任を放棄しており、その結果として助けることができるはずのいのちを助けられない医療崩壊が、東京、大阪やその周辺をはじめ、各地へ広がりつつあるという事実を直視しなければならない。
政府が現在最重要と位置付けるワクチン接種も、ワクチン供給が間に合わず、接種の円滑な続行に水を差された状態である。この中で強行されたオリンピックやパラリンピックによって、住民のコロナ感染症治療に回すことができる資源を減らし、医療崩壊を加速してしまった。国民の祝祭感を刺激したことも、コロナ感染への危機感や自粛意識を緩めることにつながったことは確かであろう。
政府は、感染の機会を減らすための人流削減の実効ある措置を打ち出すことができないでいる。政府には人命を守るという姿勢が希薄だと言わざるをえない。

再度繰り返す。政府は何よりも人々のいのちを守ることを目指し、医療崩壊の解消のために全力を尽くすべきである。

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2021 147J 人権尊重を! 出入国管理政策の抜本的改革を求める

2021年6月8日
アピール WP7 No.147J
2021年6月8日
世界平和アピール七人委員会
大石芳野 小沼通二 池内了 池辺晋一郎 髙村薫 島薗進

法務省・出入国在留管理庁(入管庁)の人権侵害は、従来からさまざまに指摘されてきた。入管庁は、難民申請者を母国への送還を免れるために難民申請や在留延長申請を繰り返す不法滞在者だとし、彼らを施設に長期「収容」し、母国へ強制送還する例が度々生じてきた。収容施設でほぼ毎年複数の死亡者が出ているという事実は、日本の入管制度が収容者に過酷な状況を強いている証拠と言わざるを得ない。

入管制度をより厳格なものへ変えようとする出入国管理及び難民認定法「改正」案が審議されているさなか、スリランカ人女性のウィシュマ・サンダマリさん(当時33歳)が3月に名古屋出入国在留管理局の収容先で亡くなった。ウィシュマさんに面会していた支援者は「面会をするたびに体調が悪化していた」と述べ、「すぐに入院させるべき」と何度も申し入れたが、職員は拒否し続け死を迎えるに至ったと証言している。

この状況が国際的な人権基準を満たしていないことは明白である。3月末、国連人権理事会の特別報告者と恣意的拘禁作業部会は、日本政府の入管政策を厳しく指弾した。日本政府の人権に配慮する意識が著しく低いことが国際的な批判を浴びたのであった。「姉は大好きな国で亡くなった。姉のビデオと最終報告書を見せてほしい」とウィシュマさんの二人の妹は涙ながらに訴えたが、入管側は「調査中」を繰り返すのみである。母親のスリヤラタさんも「娘は動物でなく人間だ。入管はなぜ『点滴して』と言ったのにしなかったのか。原因が知りたい。警察に捜査してほしい」と訴えている。

2019年のデータでは、日本国内で難民申請を行った外国人は1万375人に上ったが、実際に認められた事例はわずか44人で、認定率は0.4%に過ぎない。同年のOECD諸国の難民認定率が10%を軽く超えていることと比べると圧倒的に低い。日本政府は安上がり労働力としてしか外国人を受け入れておらず、外国からの移住者の人権を尊重する制度と思想が根本的に欠如している。そして、そのことが国内でよく認識されていない。

入管庁の権限を強化するための法改正に対する反対運動が広がり、とりわけ若者が立ち上がって声を挙げ、廃案に追い込んだ。若者を鼓舞した人権意識の高まりが社会に勇気を与えるものとなった。私たちは、これまでの外国人に冷たい受け入れ制度を根本的に改め、真に人権を尊重した出入国管理政策へと転換するよう日本国政府に強く求めたい。

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