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1964 原子力潜水艦寄港の政府内諾に反対する茅委員の談話(要旨)

1964年8月28日

 伝えられるところによると政府が近くアメリカ原子力潜水艦の寄港を受諾するという。この問題については昨年一月から各方面で一年八ヵ月にわたり論議されており、とくに潜水艦の廃棄汚染物が安全かどうか論議されてきた。

 昨夜(二十六日)権威ある原子力委員会では受諾しても差しつかえないという結論をだしたときくが、その内容についてまだ見ていないし検討もしていないので批判は避けたい。こんどの原子力委の決定は、まだどんな根拠、経過で行なったかわからないし、多くの専門学者にとって批判の余地があるものと思う。

 こうした問題は専門学者が十分論議し国民が納得したうえで決定すべきで、国民の大部分が納得してないもとで受諾することは適当ではないし、無益な対立を生ずる。それにインドシナなどで国際情勢が緊張しているおり、日本が原子力潜水艦の寄港を受諾することは国際的にも誤解を招き時期としても適当でない。

 政府は正式受諾決定まで慎重な行動をとるよう心から要望してやまない。

(1964年8月28日付読売新聞)

1963 ケネディ大統領の不慮の死に哀悼の意

1963年11月23日

 貴国が生んだすぐれて高い政治家であり、平和と正義のために最も真剣な努力を傾けた人道の士であった故ケネディ前大統領の不慮の死に対して、私どもは心から哀悼の意を表し、貴国国民と深い悲しみを分かち合うものであります。

1963年11月23日

世界平和アピール七人委員会

ラインャワー駐日米国大使 閣下

1963 32J 部分的核実験停止条約成立に際して米英ソ三国首脳へのアピール

1963年7月26日

 このたびモスクワの米英ソ三国会談で、水中・空中・大気圏外における一切の核実験を、無条件で禁止する条約が仮調印されましたことは、貴下の代表される貴国を含め、東西三大圏の平和に対する善意と熱意を示すものとして、尊敬とよろこびの念にたえま
せん。

 核実験の禁止について特別深い関心をもつわれわれとしてその感激も一層であります。

 今回の成果をもたらした三国代表の御努力に感謝すると共に、できうる限り早い時期に地下実験の禁止をも含めた全面的な核実験禁止の条約が成立することを期待致します。

 さらに又、申すまでもないことながら、全面軍縮への不屈の努力を続けられんことを心から待望致します。

1963年7月26日

世界平和アピール七人委員会

1963 31J 原子力潜水艦寄港問題に関する要望書

1963年4月19日

 原子力潜水艦スレッシャー号の不幸な事故は、アメリカ国民に強い衝撃をあたえただけではありません。それは、いわゆる「原子力潜水艦の寄港問題」に関連して、わが国民にも暗い不安の影をなげかけています。今回のスレッシャー号事件は、何よりも原子力潜水艦に重大な事故なしということが期待し得ないものであることを実証致しました。

 そのうえスレッシャー号が、わが国に寄港を求めているノーチラス型原子力潜水艦のいわば一種だといわれていることを、ここに附記せざるを得ません。

 スレッシャー号は、核弾頭付きの「サブロック」を装備していると一般に信ぜられています。無論、このような原子力潜水艦が日本に寄港を求めるような場合には、貴下は、貴下がつねづね言われている核兵器の持ちこみは絶対に許さないという公約に立って、これに対処されることと信じて疑いません。しかし、たとえ寄港を求める原子力潜水艦がいかなる核兵器も装備していない場合でも、原子力を燃料としているという事実は変りませんし、それが今回の事件で、新たにわれわれの身にせまる問題として実感されることになったものであります。

 スレッシャー号の放射能問題については、事故の原因や被害の実状が明らかにされていないいまの段階では、早急の推測はさしひかえなければなりません。とはいえ、原子力潜水艦が日本の港湾のなかで、あるいは沿岸近くで、スレッシャー号事件以上の重大な事故を起し、その結果きわめて危険な放射能害を発生させないという保証は、少なくとも今のところどこにもないのであります。

 なおこの際、とくに注意を喚起しておきたいのは、原子力の取扱は、国内の平和利用の面においてすらきびしい規制の下におかれている事実であります。これは今日の状況において原子力につきまとう予測し難い危険の重大性にもとづくものであります。しかるに外国の船艦については、いかなる場合もこれをわが国法の規制下におくわけにまいりません。のみならず原子力潜水艦による万一の事故発生は、日米間の友好に不測の影響をもちかねないことについても、日米両国が共にあらかじめ深い考慮を払うべき段階であると信じます。

 貴下が原子力潜水艦の寄港問題を再検討され、日米両国民の真の友好のためにも、寄港を取り止めるよう、むしろアメリカ政府の熟慮と反省を求められることを希望してやまないものであります。

1963年4月19日

世界平和アピール七人委員会

内閣総理大臣 池田勇人殿

1963 30J 軍縮委員会に対し核停止協定の成立を望むアピール

1963年2月12日

 私たちは、ひたすら平和を願う立場から、今回ジュネーブで再開される軍縮委員会の会議に、ひときわ強い関心をひかれざるをえません。

 すでにワシントンとニューヨークで行われてきた米英ソ三国の予備折衝をかえりみると、核実験停止問題の最大の難関であった地下実験の現地査察について、いまほど東西、ことに米ソが歩みよったことは、まだないからです。地下実験の停止で合意ができれば、水中、大気圏内、大気圏外の実験については、これを無条件で停止することに、米ソの間に意見の一致をみております。そして核実験停止の協定が成立すれば、人類の将来にとって寒心にたえぬ脅威が取り除かれるだけでなく、軍縮へのけわしい道も切りひらかれることになるでありましょう。

 しかし、万一、今回の会議が失敗に終わるようなことにでもなれば、米ソに対する世界世論の失望は、きわめて深刻なものとなり、それは両国の世界政策につぐないがたい損害をあたえるかも知れません。そのうえ「平時最高」といわれ、または「戦後最大」と称せられる軍事予算を背景として、両国間に核ロケット兵器を中心とする危険きわまりない軍備競争が、ふたたび推進されないとはいえません。少なくとも、核拡散の勢いを防止することは、到底できないと思います。そうした意味で、今回の軍縮委員会は、はじめから明暗の分かれ路に立っているといって決して言いすぎではありません。

 米ソが、ようやく訪れたこのまれにみる好機をとらえ、大国としての平和に対する絶大な責任と指導性とを発揮し、地下実験に関する最後の障害を乗りこえて、核実験停止の全面的な合意に達することを、心から望んでやみません。良識をもってなるイギリスが、よろこんで妥協の途をはかるであろうことは申すまでもありますまい。

 また私たちは、今回の会議における中立八ヵ国の調停の努力に、最大の期待をかけるものであります。恐るべき核ロケット兵器などに何の執心も持たず、一日も早くこれらが地上から姿を消すことを願う点で、中立八ヵ国の立場は、まさに世界世論の立場と同じです。

 中立八ヵ国は、世界世論のつよい支持をその背後に持つことを確信し、東西歩みよりのために必要な具体的方式を作成して、核実験停止協定の成立に側面からあらゆる努力をつくしてほしいのです。

 会議の成功を願うためには、アメリカは少なくとも会議の期間中は、当然地下実験をやめるべきだと思います。またフランスは、その不参加によって、仮にも会議失敗という大責任を負うようなことがあってはなりますまい。進んで出席し、会議を一層よく軌道にのせることが望ましいと考えます。

1963年2月12日

世界平和アピール七人委員会

1962 29J キューバ危機に際しウ・タント国連事務総長へのアピール

1962年10月27日

 貴下がこのたびのキューバ危機の打開のために、最善の努力を傾倒されていることに対して深く敬意を表します。

 貴下が、国連憲章の精神を貫徹され戦争ぽっぱつの危険を除くため根強く努力を続けられることを切望します。

1962年10月27日

世界平和アピール七人委員会

ウ・タント国連事務総長殿

1962 27J 原爆投下十七周年に際しソ連に対し核実験の中止を要望するアピール

1962年8月7日

 わが広島と長崎に原爆が投下され、一瞬にして三十万人の同胞に死傷をもたらしたその日から丁度十七年の歳月がたち、わが国においては世界各国から、平和を愛好する人達が集まり、各所において核実験禁止のための催しが行われております。またジュネーブにおける軍縮会議では、核実験禁止のための新しい提案がなされつつあり、合意による協定成立のために、真剣な努力が続けられています。

 しかるにこの時期において、貴下があたかも問答無用の態度をもって、大型の核兵器実験を再開されましたことは、核実験禁止に対する人類の要望を愚ろうするものと言うべく、遺憾の極みであります。

 核実験はいかなる理由があろうとも、悪であり、人類の破滅につながるものであり、国際世論の支持をかち得ないものであることは、このたびの貴下の再開に対して、核実験を継続中のアメリカが、なんらの有効な抗議をもなし得ないことによっても明らかであります。

 貴下はかつて自ら進んで核実験の停止を行った歴史を想起し、最後の実験を行う国としての不名誉を人類の歴史に残さぬよう、直ちに核実験を中止されることをわれわれは強く要望致します。

1962年8月7日

世界平和アピール七人委員会

フルシチョフ・ソ連首相殿

1962 28J 原爆投下十七周年に際し米国に核実験中止を訴える

1962年8月7日

 このたびソ連が核実験を再開したことに対し、われわれは、別紙のとおり強く遺憾の意を表し、直ちにこれを中止するよう勧告致しました。

 核実験は、いかなる理由があろうとも、結局は核競争という憂うべき悪欄堺を招き、ますます人類に対する核戦争の脅威をまし、決して世界の平和を達成する道ではありません。

 貴下はこのたび、軍縮会議に核実験禁止協定のための新しい提案をなされようとしています。

 われわれは、貴下の核停止実現への熱意と努力を多とするものであります。

 しかしいかなる新提案も核実験を継続している限りは、決して国際世論の全面的な支持をうけることはできません。

 貴下が新しい提案をするにあたり、直ちに貴国における核実験を中止されるようわれわれは強く要望するものであります。

1962年8月7日

世界平和アピール七人委員会

ケネディ米大統領殿

1962 26J ケネディ大統領に核実験停止を訴える

1962年4月25日

 貴下は、現在全人類の運命と世界歴史の方向を定める決定的な分岐点に立っています。

 われわれは、貴下が世界平和に対する自己の重い使命と国際世論の切なる願いを考慮され、核実験再開についてもう一度考え直されることを強く要望致します。

1962年4月25日

世界平和アピール七人委員会

ケネディ米大統領殿

1962 25J 核実験停止のための中立八ヵ国案を支持するアピール

1962年4月18日

 この度、ジュネーブ十八力国軍縮委員会で、中立八力国が核実験停止協定の成立のために、国際科学者委員会の設立を中心とする新しい提案を行いました。

 われわれは、この提案を慎重に検討した結果、現在のゆきづまりからくる恐るべき危機を打開するために最も妥当な提案と考えるし、またこれは逸すべからざる最後の機会であるとの結論に到達しました。

 細部については、なお補足すべき点もあろうが、核実験停止協定の成立を願っている国際世論を十分考慮され、この提案を基礎として、一日も早く停止協力をまとめるため、最高の良心と最善の努力を傾倒されることを要望致します。

1962年4月18日

世界平和アピール七人委員会