1968 51J ソ連・東欧四力国のチェコに対する武力侵入に抗議するアピール

1968年8月23日

 われわれは、この度のチェコスロバキアに対するソ連並びに東欧四力国の武力侵入は世界平和に対する重大な脅威と考えます。

 今回の事件の最も大きな問題は、独立国家の内政に対して軍事的な千渉がなされ、しかもその根底には大国主義のもつ重大な誤りがひそんでいることであります。民族がいずれも独立する権利を持っているように国家は、みな独自の道を進む当然の権利を持っており、これを外部からの武力によって押えつけることは、いかなる国にも許されません。またそれは一時的には可能に見えても長期的には、絶対に不可能であります。民族や国民の心はなにものによっても、しばることができないからであります。われわれは、これまでベトナムにおけるアメリカの行動に対して批判を続けてきましたが、この度のソ連の行動はそれにもまさる大国主義の誤りに陥っているといわねばなりません。大国は世界平和と人類の進歩に最もよく貢献できる立場にあり、これは大国のこの上ない栄誉でもあります。それだけに大国の責任は重く、大国主義の誤りを犯さないよう細心の注意を払わねばなりません。

 大国主義の最大の誤りは、世界世論を軽視し武力を過信し「力は正義」だという幻想をいだくことであります。この幻想はしばしば大国を世界世論のなかで孤立させ、きわめて重要な歴史の流れを見誤らせることになり、そして「正義は力」だという原則が確立するような世界に進んでいくのを妨げ、更に国際的な暴力が無軌道に横行する時代に逆行させかねません。

 これは世界にとって恐るべき事態でありますし、また当然軍備競争と核拡散とをうながすことにもなります。われわれは、ソ連並びに東欧四力国が速やかに撤兵し、チェコスロバキアとの関係を調整する話合いにはいることを強く要望致します。

1968年8月23日

世界平和アピール七人委員会