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1971 60J 四次防に関する要望書

1971年12月15日

 国内に資源をもたず、その殆どすべてを海外にあおがねばならないわが国は、その存立の基礎を外国との貿易に見出さねばなりません。

 しかし、それが円滑、かつ活発に行われるためには、諸国との互恵平等を目的とし、道義的、文化的にあらゆる国々の信頼と尊敬をうけるにたるものでなければならないと思います。

 しかるに近来、わが国における軍国主義の復活が国の内外で問題にされるようになり、世界にまれな平和憲法をもっているにもかかわらず、わが国の進路に対し疑惑と恐怖をもつ国が少なくありません。

 ところでこれらの国々の不信感にはいろいろな理由があるにせよ、いわゆる「四次防」の決定がそれに拍車をかけるであろうことは、疑いのないところであります。

 もし「四次防」が現状のままに進み、日本国憲法の存在にもかかわらず、軍備が増強され、軍事産業が拡大されるならば、それは諸国の疑念をますます深めるのみならず、わが国を世界の中で孤立化させかねないことになります。

  わが国は、世界の全面軍縮を達成する先頭にたつべきであると考える私どもは、それに逆行する「四次防」については強く反対せざるをえません。

政府がすみやかに「四次防」を、根本的に再検討されるよう要望いたします。

1971年12月15日

世界平和アピール七人委員会

内閣総理大臣 佐藤栄作殿

1971 59J 中国の核実験は遺憾

1971年11月20日

 貴国はまたも大気圏内の核実験をおこないました。あらゆる核実験に反対する私どもとしては、まことに遺憾というほかはありません。

 ことに今回の核実験は、地上に死の灰を降らせるだけではなく、米中共同声明以来、緊張緩和に向っているアジア情勢に、逆行するものであります。

 また、第二十六回国連総会は、圧倒的多数で貴国の復権を実現致しましたが、これをなした国々は主として中小国であります。しかもこれらの国々こそ非核保有国であり、核兵器にいいようのない恐れと嫌悪感をもっています。そして貴国が国連参加の暁には、核軍縮をリードするものと考えていたことを思いますとき、このたびの核実験は、貴国に対するこうした国々の期待に反するものといわざるをえません。

 重ねて、今回のような措置にでないよう、強く要望致します。

1971年11月20日

世界平和アピール七人委員会

中華人民共和国首相 周恩来殿

1971 58J 米国核実験の中止を訴える

1971年11月1日

 貴国は、近くアリューシャン列島のアムチトカ島で、五メガトンの威力をもつ、地下核実験を実施されようとしています。

 このことは、貴下が訪中を決意されたことによって国際緊張の緩和が国際的に考えられようとし、また貴国とソ連が核戦略兵器の制限交渉を続けて合意が約束されたことに矛盾するものであります。更に中国の国連参加によって中国とフランスが軍縮会議に出席し、核軍縮会議の可能性が生れようとしている国際情勢にも逆行するものであります。しかるに貴国がこれらを考慮せずに敢えて核実験を強行することは、貴国が唱える核拡散防止条約を自ら弱めるばかりでなく、世界平和への前提である核軍縮を全く無視するものといわざるをえません。

 われわれは貴国が国際世論の要望を考え、核実験を思いとどまるよう強く訴えます。

1971年11月1日

世界平和アピール七人委員会

アメリカ合衆国大統領 リチャード・ミルハウス・ニクソン殿

1971 57J 中国代表権問題に関する要望書

1971年9月4日

 やがて第二十六回国連総会が開かれ、ここで、中国代表権問題が最大の議題となることは周知のとおりであります。
 私どもは、理論上も現実も「中国は一つ」であり、世界人口の四分の一をしめる中華人民共和国政府の国連参加が、一日も早く実現することが必要であると信じます。その意味においてこれを阻害するおそれのある「逆重要事項」方式と「複合代表制」方式については反対であります。

 中華人民共和国政府が国連に参加することは、国連の普遍性を真に実現しまたそれによって、その最も重要な課題の一つである国際軍縮協定への道が、大きく開かれるでありましょう。

 現在において世界の重要問題はことごとく中華人民共和国政府の参加なしには解決しえません。日本政府がこの認識の上に立って、速やかに日中国交を回復するよう努力することを、ここに強く要望致します。

1971年9月4日

世界平和アピール七人委員会

内閣総理大臣 佐藤栄作殿

1969 56J 中国、ソ連、米国の核実験に際して

1969年10月2日

 中国が大気圏内で核実験を強行しました。またソ連も地下実験を行い、米国も近くアリューシャンで大規模な地下実験を行うといわれております。

 まことに遺憾としなければなりません。

 いうまでもなく、大気圏内の実験は、放射能の被害を体験した日本国民に耐えがたいものを感じさせます。しかも、いま危機的な激動下にある世界にとって最も重大な問題は、平和に対する全般的な脅威であります。危険なペースで増大する大国群の軍事支出と核実験が、これを如実に示しています。この意味で、地下実験であっても、それは決して国際世論のきびしい非難を免れうるものではありません。ことに、国連軍縮委員会にあって軍縮を討議してきた大国群、わけても戦略核兵器の抑制と削減について特別に話し合おうという米ソに、このことがいえましょう。両国が、ともに提案して成立させ、みずから調印した核拡散防止条約も、軍縮の実現を約束しているはずです。こうして、大気圏内での実験はいうまでもなく、地下実験をも含め、あらゆる核実験を停止するようすべての核大国に訴えます。

 さらに基本的には、核軍縮そのものの達成が絶対に必要であることを指摘せざるをえません。そして、このために最終的には中国が国連に参加し、核兵器を保有する五大国による真剣な軍縮の話し合いがおこなわれるべきであります。

 現下の緊張した国際状勢にかんがみ心から関係各国に訴えます。

1969年10月2日

世界平和アピール七人委員会

1969 55J 国連軍縮委員会への参加に際して

1969年7月3日

 日本は軍縮に対する態度を、いま世界のまえで問われようとしています。それは、日本の参加した拡大国連軍縮委員会が、三日、再開されるからですが、それだけではありません。

 原水爆の被害を現実に体験し、かつ平和憲法を保持する日本が、どのような発言をし、どのように振舞うかは、当然のことながら、国際的な関心事であろうからです。 最近の軍縮委員会は、軍備の縮小を討議するというよりも、軍備の管理について、話合うという感が全般に強いように思われます。しかも一方では、すでに全人類を殺戮してなお余りある核を保有するという大国の間で、大陸間弾道弾迎撃ミサイルや多弾頭ミサイルの開発を中心に核軍備の競争が新たに進行している実状です。まことに異常であり、危険な事態だと申さねばなりません。そしてこうした動きに軍縮委員会の内部には一種の無力感が漂っているとさえいわれます。とすれば、この無力感を一掃し、事態を軍縮への方向に推し進めることが、軍縮委員会の当面する最大の課題でなければなりますまい。いまの時期にあえて軍縮委員会に参加した日本は、最初の任務をここに求めるべきだと思います。

 無論、この道は決して容易なものではありませんし、また一つではないでしょう。が、何を措いても、軍縮委員会をその初志に立ち帰らせることが、どうしても必要です。

 一九五九年十一月二十日、国連総会は、全加盟国の共同決議で、全面完全軍縮への措置を「できるだけ短期間に」とりきめるよう要望しました。

 この決議は、米ソはもとより日本を含めた国連全加盟国による軍縮への厳粛な誓いであり、ひたすらな願いであり、軍縮委員会に対する強い要望でありました。この事実を、国連加盟国である全委員国が想起し、ここから再出発することを新たに決意せねばなりません。そして、この決意をうながす仕事に、日本はまず全力を傾けるべきです。世界の平和は、全面完全軍縮が実現したときに、はじめて確立するわけで、それまでは、だれもが核兵器の「ダモクレスの剣」の下で絶えざる脅威にさらされていなければなりません。

 軍縮委員会でとる日本政府代表の態度は、全世界の人々にょって注目されているのみならず、平和憲法を保持する日本国民によって最もきびしく間われているといってよいでしょう。

 国際世論と日本国民が投げかけるこの真剣な問いに、政府はまっこうから応えてほしいと思います。

1969年7月3日

世界平和アピール七人委員会

1969 54Ja 核兵器の撤去をふくむ沖縄の施政権の即時全面無条件返還を要望するアピール(要旨)

1969年2月9日

 沖縄の同胞は、今度の戦争で最大の犠牲となったにもかかわらず二十四年たった今なお、米軍の占領下におかれている。日本の領土に住む日本国民でありながら、日本国憲法の保護を受けていない。最近は、B52の駐留と事故などで、日常の生活と生命にさえ脅威を感じている。沖縄が日本の領土であることは、一九六二年三月十九日の故ケネディ大統領の声明や、サンフランシスコ講和条約でも明確にされている。政府は対米交渉でこの原則にそう解決をめざし、国会でも議決されるよう呼びかける。

(1969年2月9日付読売新聞)

1968 53J 北爆全面停止に際し民族自決主義を訴える

1968年11月1日

 アメリカはついに「北爆」の全面的停止を決定致しました。パリ会談開始以来すでに五月余になりますが、これでベトナム和平への第一関門がようやく突破できたことは喜びにたえません。事態をここまで推し進めるには、いろいろな力が働いたことでありましょうが、世界世論の強い圧力があったことも忘れてはならないと思います。更にアメリカが南ベトナム民族解放戦線の和平会談参加をみとめ、また北ベトナムが、南ベトナム政府の参加に同意したといわれる事実も、きわめて大きな意味をもちます。

 このような互譲こそが、ベトナム戦争そのものに全面的停止をもたらすうえで、最も必要だと考えるからであります。そのうえベトナムの場合は、朝鮮戦争の時のように、休戦だけでとどまってはならず、またとどまることを許さないものであります。したがって、ベトナム問題自体を解決しなければなりませんが、それには「ベトナムのことはベトナム人に」という大原則の実現がなによりも必要であるということをわれわれは重ねて主張致します。

1968年11月1日

世界平和アピール七人委員会

1968 51J ソ連・東欧四力国のチェコに対する武力侵入に抗議するアピール

1968年8月23日

 われわれは、この度のチェコスロバキアに対するソ連並びに東欧四力国の武力侵入は世界平和に対する重大な脅威と考えます。

 今回の事件の最も大きな問題は、独立国家の内政に対して軍事的な千渉がなされ、しかもその根底には大国主義のもつ重大な誤りがひそんでいることであります。民族がいずれも独立する権利を持っているように国家は、みな独自の道を進む当然の権利を持っており、これを外部からの武力によって押えつけることは、いかなる国にも許されません。またそれは一時的には可能に見えても長期的には、絶対に不可能であります。民族や国民の心はなにものによっても、しばることができないからであります。われわれは、これまでベトナムにおけるアメリカの行動に対して批判を続けてきましたが、この度のソ連の行動はそれにもまさる大国主義の誤りに陥っているといわねばなりません。大国は世界平和と人類の進歩に最もよく貢献できる立場にあり、これは大国のこの上ない栄誉でもあります。それだけに大国の責任は重く、大国主義の誤りを犯さないよう細心の注意を払わねばなりません。

 大国主義の最大の誤りは、世界世論を軽視し武力を過信し「力は正義」だという幻想をいだくことであります。この幻想はしばしば大国を世界世論のなかで孤立させ、きわめて重要な歴史の流れを見誤らせることになり、そして「正義は力」だという原則が確立するような世界に進んでいくのを妨げ、更に国際的な暴力が無軌道に横行する時代に逆行させかねません。

 これは世界にとって恐るべき事態でありますし、また当然軍備競争と核拡散とをうながすことにもなります。われわれは、ソ連並びに東欧四力国が速やかに撤兵し、チェコスロバキアとの関係を調整する話合いにはいることを強く要望致します。

1968年8月23日

世界平和アピール七人委員会