世界平和アピール七人委員会の委員、辻井喬さんは11月25日午前2時、肝不全のため死去されました。86歳でした。
辻井さんの父は、西武鉄道創始者の堤康次郎氏。セゾングループや西武百貨店を育て上げた経営者・堤清二氏として知られる一方、辻井喬のペンネームで、詩人、作家として活躍した。2010年9月6日から、亡くなるまで世界平和アピール七人委員会の委員を務めた。委員としての辻井さんは、2010年11月10日の明治大学での講演会で「東アジアの平和構築」と題して講演して以来、世界平和のために積極的発言を続けた。
七人委員会は、2011年7月にアピール「原発に未来はない」を発表、東京・有楽町の外国人特派員協会での記者会見に出席、積極的に発言した。昨年11月10日の福島・南相馬市での講演会では「中央集権の時代から地方自治の重視へ」と題して講演した。最近も、入院中にも病院から小沼事務局長に電話されたりした。最近の「『特定秘密保護法案』の廃案を求める」のアピールにも賛同の意思を表明した。
世界平和アピール七人委員会は、11月30日、長崎市で講演会を開いたが、席上、小沼通二委員・事務局長が、七人委員会での辻井さんの活動を報告、故人を偲んだ。
お知らせ
「特定秘密保護法案」の廃案を求めるアピールを発表
世界平和アピール七人委員会は、国会で審議中の特定秘密保護法案について、25日、廃案を求めるアピールを発表しました。
世界平和アピール七人委員会は1955年、世界連邦建設同盟理事長、下中弥三郎(平凡社社長)の提唱で、植村環(日本YWCA会長)、平塚らいてう(日本婦人団体連合会会長)、湯川秀樹(ノーベル賞受賞者、京都大学教授)らによって結成されました。
その後、メンバーは入れ替わりましたが、日本の知識人として、人道主義と平和主義に立って、不偏不党の立場から、核兵器の廃絶、平和憲法の精神など世界の平和のための発言を続けてきました。
現在のメンバーは、武者小路公秀(大阪国際平和センター会長)、土山秀夫(長崎大学名誉教授)、大石芳野(写真家)、池田香代子(翻訳家・作家)、小沼通二(慶応大学、武蔵工業大学名誉教授)、池内了(総合研究大学院大学教授)、辻井喬(詩人、作家)の七人。
今回のアピールは、発足から、110回目のアピールにあたります。
世界平和アピール七人委員会事務局
なお、問い合わせ、連絡先は、小沼事務局長まで。
FAX:045-891-8386 メール:mkonuma254@m4.dion.ne.jp
2012年講演会「福島の人びとと共に」のお知らせ
日時:2012年11月10日(土)15時~18時(開場14時30分)
会場:福島県南相馬市 サンライフ南相馬 集会室
入場無料
プログラム
・辻井喬「中央集権の時代から地方自治の重視へ」他
・大石芳野「福島の人びとを撮りつづけて、思う」
・小沼通二「原発と核兵器の時代を超えて」
・パネル討論「あらためて原発を考える」
疑惑の原子力基本法:「我が国の安全保障に資する」のたどる道
疑惑の原子力基本法:「我が国の安全保障に資する」のたどる道(Kagaku_201209_UncorrectedProof.pdf)
『科学』9月号(8月末刊行)掲載予定、岩波書店の特別の許諾により掲載
世界平和アピール七人委員会が、「原発のない世界」を求めてアピール
7月11日、外国特派員協会で発表 日、英、仏、独語で
世界平和アピール七人委員会は、東日本大震災から4カ月となる7月11日、日本外国特派員協会(東京・有楽町)で記者会見し、「原発に未来はない 原発のない世界を考え、IAEAの役割強化を訴える」と題するアピールを発表した。アピールは日、英、仏、独語で、日本と世界の市民、リーダーに呼びかけている。会見には池田香代子、池内了、小沼通二、武者小路公秀、辻井喬の5委員が出席し、記者たちの質問に答えた。
発表されたアピールでは、「私たちは、全世界の原子力発電所すべての廃止を決定すべきだと考える」と呼びかけている。特に日本においては、活断層上の原発の即時停止、複数の原子炉を持つ発電所の規模縮小などを求めた。さらにエネルギー政策の「小型化、分散化、多様化」への転換を提起し、自然エネルギー開発や省エネルギーの推進を促した。IAEAと加盟国に対しては、原子力の軍事転用に限らず大型施設の情報把握を強め、原発事故発生時には国際専門家チームを組織して主体的に収束に努めるよう希望した。
講演会&シンポジウム in 篠山
世界平和アピール七人委員会の2011年講演会は、委員会創立者であり、世界連邦の提唱者でもあった下中弥三郎(元平凡社社長)の没後50年を記念して、下中弥三郎の生まれ故郷、兵庫県篠山市で開かれることになりました。
主催は七人委員会と下中記念財団、篠山市の実行委員会、市や市教育委員会も共催します。
講演会は、「篠山で考える日本と世界」と題して、11月12日(土)午後1時30分~5時、篠山市民センター・多目的ホール(篠山市黒岡191)で。また、「地域力を強める ―これからの日本― 」と題するシンポジ ウム が、翌13日(日)午前9時30分~12時、篠山市立丹南健康福祉センター(篠山市網掛301)で行われます。
これらの企画参加者は、事前申し込みが必要です。篠山市のホームページをご覧ください。
→篠山市のホームページ(世界平和アピール七人委員会講演会&シンポジウムin篠山)
下中弥三郎は幼くして父を失い、独学で学んで教師となり、平凡社を創業しました。篠山は瀬戸、常滑、信楽、備前、越前などと並ぶ「日本六古窯」の一つ「丹波焼」の里。
講演会の前日11日には、篠山市教育委員会主催の学校行事として、地元、今田小学校5年生から中学校3年生までの児童・生徒全員を対象とする池田香代子委員と小沼通二委員、弥三郎の孫の下中美都による講演会が開かれます。保護者や一般市民の参加も可能です。13日午前には、地元・今田の「やさが塚」での記念植樹、また、11月上旬からは、立杭陶磁器協同組合主催で立杭の「陶の郷」で下中弥三郎作の陶芸品などの展示、10月中旬から下中記念財団主催で下中弥三郎の出版と教育助を紹介する篠山市立中央図書館での展示などの関連記念行事が計画されています。
講演会
2011年11月12日(土)午後1時30分~5時
篠山市民センター・多目的ホール
シンポジウム
2011年11月13日(日)午前9時30分~12時
篠山市立丹南健康福祉センター
2010年講演会「武力によらない平和を」に350人 井上さんの「思い」引き継ぎ、辻井喬さんも初参加
世界平和アピール七人委員会の2010年の講演会が、2010年11月12日、東京・お茶の水の明治大学リバティタワーで開かれた。総合タイトルは、「武力によらない平和を 日米安保・沖縄・核」。
明治大学軍縮平和研究所が共同主催し、準備や当日の進行を同研究所の院生ら若い力が支え、参加者は、約350人。4月に亡くなった井上ひさし委員の思いを次代へ引き継ぐ願いも込めた講演会で、新しく加わった詩人で作家の辻井喬委員も、「東アジアの平和構築」をテーマに講演した。(詳細はこちらで)
講演会後には、神保町のレストラン「アミ」で懇親会を開き、約50人が参加、夜遅くまで講演会の盛会を祝った。
→ 2010年講演会
辻井喬さんが七人委員会に参加
井上ひさしさんが、さる4月9日に亡くなられた後、1人欠員になっていた委員に、詩人で作家の辻井喬さんが9月6日に参加されることが決まりました。
辻井さんは1927年東京でお生まれになり、日本ペンクラブ理事、日本文藝家協会副理事長、日本中国文化交流協会会長をされています。詩集に『群青、わが黙示』(高見順賞受賞)、『鷲がいて』(現代詩花椿賞、読売文学賞詩歌俳句賞受賞)など、小説に『虹の岬』(谷崎潤一郎賞受賞)、『父の肖像』(野間文芸賞受賞)、『茜色の空』など、回顧録『叙情と闘争』などがあります。2006年には第62回恩賜賞・日本芸術院賞を受賞されています。詳しくは委員のプロフィールをご覧ください。
潘基文国連事務総長に七人委員会がメッセージと核兵器DVDを贈呈
来日中の潘基文国連事務総長が、2010年8月5日に初めて長崎を訪問した。国連側9名、長崎側7名の午餐会において、長崎県知事の歓迎と潘事務総長の答礼の辞のほかに、世界平和アピール七人委員会の土山委員が特に発言の機会を与えられた。土山委員は、① 1955年の七人委員会の誕生のいきさつから、② 最近まで102回のアピールを国内・国外に発表してきたこと、③ 去る4月8日の第102回アピールでは、2008年10月24日に開かれたシンポジウムにおいて潘事務総長が強調した核廃絶への5項目提案を全面的に支持することを述べ、その中の核兵器禁止条約への交渉開始の要請を特に取り上げて、速やかな取り組みと結論到達を要望する旨、国内国外に発表すると共に、当時の鳩山首相には直接お会いして日本の貢献を要望したことを紹介した。
核兵器禁止条約を求めるアピールを発表 鳩山首相と会談、「核廃絶の先頭に」と激励
世界平和アピール七人委員会は、4月8日午前、首相官邸で鳩山由紀夫首相と会い、別紙の「核兵器不拡散条約再検討会議を前にして、核兵器禁止条約の採択に向けた早期交渉開始を求める」とのアピール(No.102)を手渡しました。
アピールは、来月のNPT再検討会議、来週の核セキュリティ・サミットを前に、各国の政府に核兵器禁止条約の締結に向けて、積極的な取り組みをするよう求めたもので、鳩山首相にも「核兵器廃絶の先頭に立ってがんばってほしい」と申し入れました。
委員会はこのあと、このアピールを国連事務総長および主要各国首脳に届けることにしています。
現在の委員会のメンバーは、武者小路公秀、土山秀夫、大石芳野、井上ひさし、池田香代子、小沼通二、池内了の7人。この日の鳩山首相との会談には、療養中の井上ひさし、所用で欠席の大石芳野、池内了の3委員を除く4人の委員が参加しました。
鳩山首相は「世界平和アピール七人委員会は、私の祖父が総理だった時代からずっと引き続いて活動されている由緒ある組織と聞いている。来ていただいて有り難い」との挨拶があり、小沼委員・事務局長から、アピールの趣旨を説明、アピールを手渡した。
核兵器禁止条約について、小沼委員は「日本は前政権時代から、きて棄権を続けており、昨年12月も棄権してしまった]と説明。土山委員も「核兵器禁止条約は、NPT(核拡散防止条約)と違って、核兵器を法的に規制しようとするものだ。NPT条約に加入しないインド、パキスタンや北朝鮮もこれには賛成している。いま核兵器がテロ組織に渡ったら大変だ、という危惧をみんな持っているが、この条約なら全体が一致できるはずだ。日本はその先頭に立ってほしい」と強調した。
また、武者小路委員は「コスタリカとマレーシアが核兵器禁止条約の草案を出している。日本も同意見だと言っていただくことは、南北関係の上で大変意味が大きい」と鳩山首相にアドバイス。武者小路委員は最後にも「生物多様性条約の締結国会議も重要です。首相に頑張っていただきたい」と激励した。
池田委員は、池上彰氏とともに出版した「日本がもし100人の村だったら」を「総理に期待しています」と手渡した。
これに対し鳩山首相は「貴重なご意見をいただいた。核セキュリティサミットには出掛けることにしている。NPT再検討会議の方はどうなるか分からないが、強い関心を持っている。オバマ大統領は核保有国への攻撃はしない、という消極的安保に一歩踏み込んだ。しかし、完全ではない。すべての核保有国がこうした方向に行くように行ってほしいと思っている。核兵器禁止条約については私ももっと勉強してみたいと思っている。日本はそうした責任があると思っている。皆さんの意見を参考にして政府として何ができるかなどを研究したい」と述べた。
この会談には、核実験の恐怖や、核爆弾の数などを映像化した橋本公さんも参加、自作の「1945-1998」「オーバーキルド」「核実験の名前たち」のビデオを首相に贈呈した。
委員会はこのあと、このアピールを国連事務総長および主要各国首脳に届けることにしている。
(了)
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世界平和アピール七人委員会、官邸で鳩山さんと会見
鳩山さんへのプレゼントは写真に撮っておきました