1957 マクミラン英首相に対し水爆実験計画の中止を要望するアピール(要旨)

1957年2月24日

 われら世界平和アピール七人委員会は貴国政府が日本の悲惨な原水爆経験に思いをいたされるよう望みます。

 一九五四年太平洋ビキニ島における米国の水爆実験は一日本人漁夫を死にいたらしめ、多くの病者を出し、各地に被害をもたらしました。また南洋群島の住民は多くの死者や病者を出したことについて米国に抗議しました。さらにその放射能の悪影響が遠くインドから本国にまで及んだことが記録されています。水爆実験の被害は時間的にも空間的にも限定されません。広島、長崎に投下された原爆が今日にいたるまでの十二年間、毎年原爆症による死亡者を出しています。水爆実験が一国及び特定地域のみに被害を及ぼすものでなく、地球上全人類の生存に予測し得ない被害を及ぼすことは世界の権威ある学者のひとしく警告するところです。

 英政府が来月予定の太平洋クリスマス島の水爆実験を施行されるならば、それはこれらの厳粛な事実と穐威ある学者の衛告を無脱し、↑阻Wの阻論を昭みにドるものであり,英国の伝統的精神にも背くものであり、非人道的な野蛮行為といわざるを得ません。われらは全人類のためにおそるべき危険な水爆実験をやめられるよう切望します。

(1957年2月24日付毎日新聞)