永続する真の世界平和を樹立するために、われわれはこれまでいくつかの訴えを行ってきた。とくに、昨年インドが地下核実験を行った時、核拡散の連鎖反応が激化する危険性を憂慮し、わが国のとるべき道に関し、われわれの考えを述べ、政府がすべての国に率先して努力するよう田中首相に要望した。一日も早く核拡散防止条約を批准することが平和に関するわが国の国際的立場を明確にする上で必要不可欠であることを主張した。核拡散防止条約再検討会議は目前に迫っている。核拡散防止条約のもつ問題点については、ほとんど解決済みであり、原子力委員会、原子力産業会議も早期批准を政府に要望している。
ジュネーブ軍縮委員会の加入になみなみならぬ努力をはらった三木首相は、今こそ決断を下すときであると考える。そのことは日本の首相として核兵器に関する世界の流れを変えるための第四歩を踏み出すことであると思う。平和憲法を有し、非核三原則を掲げるわが国は、国際社会において核軍縮への主導的役割を果たすべきであるということをわれわれは信ずるものである。
(1975年2月27日付朝日新聞)