アピール第90号J
2007年4月12日
世界平和アピール七人委員会
武者小路公秀 土山秀夫 大石芳野 井上ひさし 池田香代子 小沼通二 池内了
名誉委員 伏見康治
2007年4月12日
世界平和アピール七人委員会
武者小路公秀 土山秀夫 大石芳野 井上ひさし 池田香代子 小沼通二 池内了
名誉委員 伏見康治
私たち世界平和アピール七人委員会は、現在衆議院で審議中の「日本国憲法の改正手続に関する法律案」(与党案)ならびに「日本国憲法の改正及び国政における重要な問題に係る案件の発議手続及び国民投票に関する法律案」(民主党案)について、憲法改正というもっとも根源的かつ基本的な投票を、投票率に関係なく、有効投票数の過半数という決め方をするのは適切でないと考えます。
日本国憲法第九六条によれば、憲法改正における国会の役割は各議院の総議員の三分の二以上の賛成で発議し、国民に提案することとされています。憲法改正における主役は国民です。ここに示されているとおり、衆参両院においては、有効投票数ではなく総議員数が基礎になっています。
国外においても、英国では、全有権者の40パーセント以上の賛成を必要としていますし、韓国では有権者の過半数が投票しなければ改憲が成立しないという最低投票率制度を採用しています。
そこで総議員数を基礎にしている国会の例と、総有権者を基礎にしている諸外国の例にならって、総有権者の過半数の賛成を必要とするという成立条件を加える修正をおこなうことを強く要請します。それによって初めて、主権者としての国民の過半数が支持する改正をおこなうこととなり、主権在民の下での憲法を自らのものととらえることが可能になると考えます。
私たちと同様の主張は、衆議院の日本国憲法に関する調査特別委員会公聴会における公述人も発言しています。国の根幹に関わる憲法改正の手続きは、拙速で進めることなく、決定していただきたいと切に要望いたします。