2026 173J 国際刑事裁判所を守るべく声をあげるよう呼びかける

2026年10月2日
アピール WP7 No.173J
2026年10月2日
世界平和アピール七人委員会
大石芳野 小沼通二 池内了 髙村薫 島薗進 酒井啓子 藤原辰史

私たちは、国際刑事裁判所(ICC)に対する米国大統領の暴力的言動に反対し、ICCの活動を支持する。ICCを守るべく日本の広範囲の団体・個人が発言し、各国の支援の動きに賛同することを願っている。

ICC は、ジェノサイド(集団殺害)犯罪、人道に対する犯罪、戦争犯罪、侵略犯罪という4つの犯罪を対象としている。冷戦終結後の1998年にローマで開かれた外交会議で採択された条約「国際刑事裁判所に関するローマ規程」に基づき、2002年にICCが発足した。加盟国の市民が戦争によって被害を受けた場合、これらの犯罪を行なった個人を捜査・訴追し、逮捕・裁判・刑の執行を行なう組織である。加盟国の国民でない被疑者も対象になる。国連の組織ではないが、協力関係がある。現在の加盟国は125か国であり、日本政府は2007年にICCに加盟して以来、任期9年再任なしの裁判官を一貫して送り出している。予算は国連の分担金の比率に準じて負担しており、国連分担金が第3位の日本政府は、上位の米国と中国が非加盟のため、財政的にも最大の貢献をしてきた。

このICCに対し、米国のトランプ大統領は以前より敵視し、第1次政権の2020年以来繰り返し検察官・裁判官を制裁対象としてきた。2023年10月のガザ戦争以降は、ガザ攻撃を続けるイスラエルの首相らに対し戦争犯罪及び人道に対する犯罪を認定したICCのみならず、国連の他機関にも敵対的姿勢をとってきた。2026年8月18日にはついにICCの赤根智子所長ら2名に制裁を科し、さらに9月22日の国連総会においてICCの加盟国に脱退を呼びかけた。この脅迫的言動は、国連の創設以来積み重ねられて来た世界の法の支配による秩序を、力によって破壊しようとする暴挙である。

国連やヨーロッパ諸国などが連帯・支援を表明している中で、髙市首相は「残念」「日本の立場と相いれない」と言うだけであり、片山さつき財務相は日本の金融機関について「個別の金融機関による対応」というのみであった。トランプ大統領のICC脱退の呼びかけの直後に、高市早苗首相がトランプ大統領との首脳会談においてICCについて「率直にやり取り」したとされている。しかし、高市首相は、首脳会談後の国連総会演説でさえ、「ICCを支持している」というにとどまり、かねてから「法の支配」を主張してきたにもかかわらず、積極的に事態を打開しようという姿勢が見られない。

私たちは、この深刻な現状を直視して、できるだけ広範囲の団体・個人がICCと赤根所長らの裁判官や検察官を擁護し激励する発言をしてくださることを重ねて強く要望する。

PDFアピール文→ 173j.pdf