2009 100J 戦争なき世界に向けて核兵器廃絶のための具体的行動を呼びかけるアピール

2009年11月13日

アメリカ合衆国大統領 バラク・オバマ殿

アピール WP7 No.100J
世界平和アピール七人委員会
武者小路公秀 土山秀夫 大石芳野 井上ひさし 池田香代子 小沼通二 池内了

 われわれ世界平和アピール七人委員会はまず、2009年11月13日にあなたが訪日されることを歓迎し、あなたのノーベル賞受賞を心からお祝いいたします。

 2009年9月24日、国連安全保障理事会で決議1887が満場一致で採択されるに当たってのあなたのリーダーシップと、核兵器なき世界を目指し具体的措置を取ることを約束した2009年4月5日のチェコ共和国プラハでのあなたの演説を、世界の大多数の人々が歓迎したことは、われわれの歓びであります。また2008年7月24日のベルリンにおけるあなたのスピーチ、2008年8月25日の民主党大会に於けるあなたの「アメリカを革新する約束」も、われわれのよく記憶するところです。これらの場であなたは核兵器のない世界の平和と安全を求めるとの、アメリカのコミットメントを繰り返されました。

 2日前に、NHKテレビが 前日に行なったあなたの単独インタビューを放映しました。あなたは、今回は時間が取れないが、在任期間中に原爆の経験を持つ広島と長崎を訪問できれば光栄だといわれました。また両市の記憶は全世界の人々の心に刻まれているとも述べられました。これらの言葉は、核兵器のない世界を実現させることをあなたが確信していることを改めて示すものでありました。日本の人たち、特に被爆者、はあなたに共感し、具体的な前向きの行動を期待するものであります。

 国連の全加盟国は、国際紛争を国際の平和と安全と正義が脅かされない形で、平和的手段で解決すべきであるとの国連精神を、全ての人が想起すべき時が来ています。世界のすべての国民が恐怖と欠乏から逃れ、平和のうちに生存する権利を認めていることを明記している日本国憲法は、これと全く同じ考えに立っています。
 生物兵器禁止条約、化学兵器禁止条約、対人地雷禁止条約はすでに発効しています。クラスター爆弾禁止条約も後を追っています。核兵器の役割は、すべての人類のために無条件でただちに否定されるべきであります。核兵器禁止条約は実現させなければならないし、実現させることができるのです

 ここで、われわれの組織について説明させていただきます。
 世界平和アピール七人委員会は1955年、国連創設10周年の機会に、国連の役割強化を訴えるとともに戦争の根絶を追求しようと、七人の影響力ある日本の知識人によって設立されました。それは「人間性を心にとどめ、ほかのことは忘れよ」と述べたラッセル・アインシュタイン宣言が発表されたのと同じ年でした。以来七人委員会は外部から独立した個人の資格で、平和、正義、人間性に立脚した国内・国際アピールを発表し続けてまいりました。われわれは創設の日から核兵器の廃絶を追求し、世界のいかなる紛争も平和的手段で解決されるべきだと信じてきました。核兵器の保有と「核の傘」理論は、いかなる国についても例外なく放棄されるべきだと、われわれは信じています。このメッセージは、われわれの発表した100番目のアピールです。

 PDFアピール文→ 100J.pdf