2015年6月22日
世界平和アピール七人委員会
武者小路公秀 土山秀夫 大石芳野 小沼通二 池内了 池辺晋一郎 髙村薫
私たちは、集団的自衛権の行使を認めた2014年7月1日の閣議決定を取り消し、無理な審議を強行している安保関連法案を廃案にし、軍事でなく外交を優先する政策に変換し、敵を作らずに平和に貢献する国づくりを目指すことを、日本政府と国会に求める。
安倍政権は安保関連法案が必要な理由として「中国の軍事大国化」と「北朝鮮の核戦力」を挙げているが、これらは軍事超大国の米国が維持している巨大な在日米軍基地の存在と無関係ではない。安倍政権の動きは、一部の国と癒着し、敵を作り、相互に非難し合うことで緊張を高めるものであり、抑止力にならないどころか、軍拡競争を誘発するばかりである。これは日本の安全を脅かすだけでなく、世界の諸国民の平和に生存する権利を侵すものと言えよう。すでに自らの考える秩序を全世界に押しつけようとする米国の力の政策が限界に達していることは明白である。
日本国憲法は、前文に「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」と書き、戦争と武力行使を永久に放棄し、戦力を保持しないことを第9条で規定している。軍事力強化を目指す安倍政権の意図に反し、大多数の国民は憲法第9条改正を望んでいない。外交努力によって自らの安全を図り、世界の紛争に対しては、一方だけを支持することなく積極的に調停にあたるのが日本の目指すべき道である。人口激減、財政赤字の日本が進むべき道は、国際融和・協力による一人一人が安心・安全の社会であるべきだと信ずる。
私たちは、60年前の、「平和共存」、「平等互恵」を訴えたバンドン会議(アジア・アフリカ会議)や、核兵器と戦争の廃絶を呼びかけたラッセル・アインシュタイン宣言を想起する。日本国憲法が目指す目標に向かって粘り強く一歩一歩進んでいく政策を選べば、“核の傘”による核兵器依存が不要になるばかりか沖縄を含めた日本全体の米軍基地も不要になり、北東アジアの緊張緩和に寄与し、諸国民が安心して安全に生存していく世界の実現に貢献できる。
私たちは、日本の国民に、日本政府の政策を、国連憲章の平和原則と日本国憲法の初心と歴史の流れに従って、平和共存・相互理解・平等互恵及び一人一人の平和的生存権の保障される世界を目指して、根本的に変えさせていくよう訴える。
PDFアピール文→ 117j.pdf