2008 93J 日本政府は米印原子力協定に反対を

2008年8月6日
アピール WP7 No.93J


2008年8月6日
世界平和アピール七人委員会
武者小路公秀 土山秀夫 大石芳野 井上ひさし 池田香代子 小沼通二 池内了

 私たち世界平和アピール七人委員会は2006年6月21日、当時の小泉総理あて、ブッシュ大統領との会談において「米印間の原子力協定について日本も賛同するように」との要請があっても、受け入れることのないよう要望書を提出しました。
 その後、インド国内の政治的事情によって協定は実現を見ないまま、経過していました。ところが最近になって、インドの国会で協定調印への環境が整えられたことにより、実現の可能性がにわかに高まってきたことが伝えられています。

 私たちが前回の要望書でも指摘した、インドが核兵器不拡散条約(NPT)の発足当初から不平等を理由に加盟せず、国際世論を無視して核実験を行い、公然と核兵器保有国になった事実はその後何一つ変わっていません。このような状況の中で、NPT加盟国である米国がインドを有力な原子力市場であるとみなし、また対中・対イスラムの同盟国ともみなして、インドに対してNPTの加盟を促さず、例外扱いとして認めようとすることは、NPTの基本理念に反する行為であることは明白です。それと同時に、イランや北朝鮮の核開発を阻止しようとすることとも矛盾します。しかも日本など45カ国からなる原子力供給グループ(NSG)の全会一致の承認が得られにくいとみなすや、米国はその規定の変更を試みようとさえしています。

 私たちは、広島への原爆投下の日に当たり、被爆国である日本の政府がこうしたNPT体制の崩壊につながりかねない米印原子力協定に対して、インドがNPTと包括的核実験禁止条約(CTBT)に加盟することを前提条件としない限り、賛同できないむね、米国政府とインド政府に強く訴えることを要望します。