東京都西東京市にて 2026年6月25日
世界平和アピール七人委員会
大石芳野 小沼通二 池内了 髙村薫 島薗進 酒井啓子 藤原辰史
2月末の米国とイスラエルによるイラン攻撃は、ホルムズ海峡の封鎖を招き、世界的なエネルギー危機を生じさせた。ようやく停戦合意が成立したが、今後、化石燃料の安定供給が長期にわたって実現すると確信をもてる事態ではない。世界的には、エネルギー供給の構造が大きく変化しているとの認識が強まっている。このエネルギー危機を、深刻な問題として受け止め、地下資源に強く依存した現在の大量消費・大量廃棄社会のあり方を根源から見直す大きなチャンスが、いま私たちの目の前にある。
たとえば今回、ナフサが不足し始めるやいなや、直ちにインク・医薬品・プラスティックなど、ナフサを原料とする様々な必需品が不足し始めた。また、スマートフォンや電気自動車などハイテク産業で用いられるレアアースの供給不足が問題となっているが、その採掘・精製によって生じる小さくはない環境汚染が懸念されていることを忘れるべきではない。このように、現代文明は地下資源に依拠しており、世界平和が崩れて円滑な結びつきが損なわれると、すぐに暮らしが成り立たなくなるという脆弱性をはらんでいる。
ところがいま、国際法を無視した侵略、無辜の民の虐殺、そして核装備の拡大が、当然のごとく進められている。これらは、国際連合憲章でも、日本国憲法でも確認されている基本的人権の尊重を根本から否定するものだ。いうまでもなく戦争は、最大の環境破壊であるとともに、最大の資源浪費である。
気候変動も含めて現在の地球が陥っている危機は、大量の消費にのめり込み、軍需産業を後押しし、戦争という破壊的で人間の尊厳を踏みにじる営みから抜けられない先進経済諸国の社会の実相を表している。危機の時代にあればこそ、一切の戦争を避け、再生可能エネルギーにシフトさせる歩みを力強く進めたい。
平和への道と地下資源文明からの脱却とは表裏一体である。戦後日本は、軍事に傾斜する科学や産業のあり方を是としなかった歴史と同時に、世界でも最も悲惨な公害を経験した歴史をもつ。この日本からこそ、地下資源と戦争に依存する文明からの脱却を世界へ呼びかけたい。
PDFアピール文→
171j.pdf


