2023 158J イスラエルはガザへの攻撃を直ちに中止すべきである

2023年11月4日
アピール WP7 No.158J
2023年11月4日
世界平和アピール七人委員会
大石芳野 小沼通二 池内了 池辺晋一郎 髙村薫 島薗進 酒井啓子

私たちは、イスラエルの非人道的な完全封鎖の下でパレスチナ人が住むガザに対しておこなわれているイスラエルの連日の空爆と地上からの攻撃によって、多数のパレスチナ人が殺され傷つけられていることに、深い悲しみとともに強い憤りを覚えている。イスラエルは、ハマスのテロ行為に対する自衛だと主張しているが、多数の子どもたちを含むパレスチナの人々を無差別に殺し傷つける行動を正当化することはできない。

元来、パレスチナの地には、宗教や出自が異なる多様な民族が共存していた。1948年にこの地にイスラエルが建国して以来、多くのパレスチナの人々が生活してきた土地から追い出され、基本的人権を無視された難民となった状態が75年も続いてきたことを忘れるべきではない。ガザ地区に生きるパレスチナ人たちは、狭い地域に閉じ込められ、厳しい検問や監視のもとに置かれ、度重なる攻撃によって苦しんできた。ガザが「天井のない監獄」と言われる状況にあることは、世界に広く知られている事実である。

今回、ガザの隔壁を越えて行われたハマスの攻撃に際しての民間人殺害や人質作戦は決して許されるものではない。しかし、その報復だというイスラエルのガザへの総攻撃が、子どもたちを含む多数のパレスチナ人に死を強要していることは明らかであり、人間として、決して正視できないジェノサイドに等しい。パレスチナ人もイスラエル人と同じ人間であり、パレスチナ人を非人間のように扱うことは許されない。

暴力に対して暴力をという報復の連鎖では、何らの解決にならないということは、人類の歴史を見れば明らかである。パレスチナ人にも、あらゆる迫害・殺戮から解放され、安全に暮らす人間としての権利がある。

私たちは、10月26日の国連緊急特別総会で採択された決議「民間人の保護と法的・人道的義務の遵守」を支持する。イスラエルとパレスチナ双方の当事者に、人類社会の多様性を認め、真の「人間同士」として、その尊厳を尊重し合い、武力に頼らないで相手と対話をすることを求める。それは当該地域の長期的な平和のために、大きな一歩を踏み出すことになる。

私たちはまた、日本政府を含む世界各国の政府がそのために積極的な支援を行い、貢献することを心から望んでいる。とりわけ平和憲法をもち、中東地域諸国と長年、友好関係を培ってきた日本政府は、多くの生命が失われ、多くの人々が日々苦しむ現在の当該地域の事態から目をそらすことなく、人道的な観点を尊びつつ平和のための支援に最善の努力を行うことを求めたい。

PDFアピール文→ 158j.pdf