2022 152J 今こそ核戦争回避に向けて結束した行動を

2022年5月2日
アピール WP7 No.152J
2022年5月2日
世界平和アピール七人委員会
大石芳野 小沼通二 池内了 池辺晋一郎 髙村薫 島薗進

ロシアのウクライナ侵攻は、ウクライナ東部に兵力を集中させたロシア軍と、NATO(北太西洋条約機構)諸国の武器援助を背景としたウクライナ軍の間の総力戦の様相を呈しており、この「戦争」が簡単には終結しないことは明らかである。
プーチン大統領が戦局を一変させることを目的として、大量破壊兵器、なかでも核兵器を使用する危険性が生じている。実際、4月27日にプーチン大統領は「外部の者がウクライナに介入し、ロシアに戦略的脅威を与えようとするなら、我々は電光石火の対応を取る」と述べ、さらに、「我々には対応手段があり、必要に応じて使用する」と付け加えており、いざとなれば核ミサイルの使用も辞さないとのプーチン大統領の威嚇・脅迫と受け取られている。
この威嚇は単なる憶測や危惧ではなく、今始まったことでもない。プーチン大統領はウクライナ侵攻開始の2月24日に、「ロシアは最強の核保有国の一つである」と言明し、3月27日にはロシア軍の核運用部隊に対して「任務遂行のための高度な警戒態勢」を命令している。プーチン大統領が、核兵器の使用を仄めかすことによって相手の反撃を抑制させ、戦況を有利に進めたいとの意向を持っていることは明らかである。そして、これらは口先だけの恫喝に留まらず、追い詰められれば核の実戦使用に手を付ける可能性がある。そうなれば世界規模の核戦争へと発展し、人類絶滅の危機と核の冬の到来に至る危険性が一気に高まる。
今、全世界が成すべきことは、プーチン大統領に核のボタンを押させないため、あらゆる手段を用いて停戦協議の場を設定することである。その場の実現には、国連を構成する大小諸国の代表が結束してモスクワへ、そしてキーウへ出かけ、プーチン、ゼレンスキーの両大統領を交渉の場につかせ、停戦協定が妥結するまで粘り強く説得し続けることである。
今こそ、誰もが核兵器の廃絶を訴えたラッセル・アインシュタイン宣言の精神を改めて思い起こし、現在の事態が人類存続・地球存続の危機であるとの認識をもち、人道的立場のもとに結束して核戦争の回避に向けて行動すべきである。

PDFアピール文→ 152j.pdf