世界平和アピール七人委員会は、1955年の発足以来 一貫して意見の異なる人たちとも 対話を求め続けてきました。
このたび池田香代子委員が、ツイッターでこの基本的方針に反する記述を表明したことを知り 個人の発言であったにしても不適当だったと直ちに判断しました。池田委員からも「このたびの私の軽率な言動は、委員会の方針にもとるものでした」として辞任の意向表明があり、全員で討議した結果、委員退任を決定しました。
七人委員会は初心を大切にし、世界と日本の一人一人が安心して安全に生きていける社会を目指して、これからも人道的立場から努力を続ける所存です。
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2014 111J 辺野古に新しい軍事基地を造ってはならない
2014年1月17日
世界平和アピール七人委員会
武者小路公秀 土山秀夫 大石芳野 池田香代子 小沼通二 池内了
私たち世界平和アピール七人委員会は、日米両政府に、沖縄県名護市辺野古に米海兵隊の軍事基地を造る計画を断念するよう要請し、沖縄県外に住むすべての人々に、この問題を真摯に受け止めることを訴えます。
同基地計画は、1995年の米兵による少女暴行事件に対する沖縄県民挙げての怒りを受け、日米両政府が宜野湾市の市街地の中心にある米海兵隊普天間飛行場を閉鎖し、辺野古に代替施設を新設することに合意したことに始まります。
それから17年たっても辺野古移設が成らなかった第一の要因は、沖縄に新たな軍事基地を造らせまいとする沖縄県民の強い意思です。にもかかわらず、これまで沖縄県の自己決定権を奪ってきたことを、日本政府と沖縄県外の人々は直視すべきです。日本全体の面積の0,6%しかない沖縄県に在日米軍基地面積の73,8%が集中するという異常な事態をこれ以上は容認できないとする沖縄県民の思いを、県外の人々は重く受け止めるべきです。
沖縄は、1609年の薩摩島津藩による琉球侵攻、そして1879年明治政府の「琉球処分」と、ヤマトの横暴に翻弄され続けました。さらに第二次世界大戦末期、沖縄を本土防衛作戦の捨て石とした沖縄戦では、12万人以上の県民が犠牲になりました。
このような苦難の歴史を強いられた上、さらに戦後も沖縄県民は多大な基地負担を押しつけられ、こんにちに至ります。県外に住む私たちは忸怩たる思いで一杯です。今また安倍内閣が、カネの力で仲井眞沖縄県知事に辺野古沖の埋め立てを承認させたことは、まさに「21世紀の琉球処分」です。県外に住む私たちは、歴代日本政府による対沖縄「差別」政策にいたたまれない気持ちでおります。
辺野古の海はジュゴンやウミガメが生息する、地球に残された貴重な海域です。その海を埋め立てて恒久的な軍事基地を造ることは、75億の人類が共存すべき地球への冒涜です。残された自然環境を守るためにも、辺野古に基地を造ってはなりません。
PDFアピール文→
111j.pdf
秘密保護法に反対のアピール 改憲の動きにも警鐘
世界平和ピール七人委員会は、11月25日、国会で審議中の特定秘密保護法案について、「『特定秘密保護法案』の廃案を求める」とのアピールを発表した。そこでは、「『特定秘密保護法案』は、その内容も審議の進め方も、民主主義と日本国憲法にとっての脅威であると危惧し、本法案を廃案とする」ことを求めている。
七人委員会は、安倍政権の「改憲路線」に危機感を抱いており、6月28日には、「日本国憲法の基本的理念を否定する改定の動きに反対する」とのアピールを出している。
「特定秘密保護法案」の廃案を求めるアピールを発表
世界平和アピール七人委員会は、国会で審議中の特定秘密保護法案について、25日、廃案を求めるアピールを発表しました。
世界平和アピール七人委員会は1955年、世界連邦建設同盟理事長、下中弥三郎(平凡社社長)の提唱で、植村環(日本YWCA会長)、平塚らいてう(日本婦人団体連合会会長)、湯川秀樹(ノーベル賞受賞者、京都大学教授)らによって結成されました。
その後、メンバーは入れ替わりましたが、日本の知識人として、人道主義と平和主義に立って、不偏不党の立場から、核兵器の廃絶、平和憲法の精神など世界の平和のための発言を続けてきました。
現在のメンバーは、武者小路公秀(大阪国際平和センター会長)、土山秀夫(長崎大学名誉教授)、大石芳野(写真家)、池田香代子(翻訳家・作家)、小沼通二(慶応大学、武蔵工業大学名誉教授)、池内了(総合研究大学院大学教授)、辻井喬(詩人、作家)の七人。
今回のアピールは、発足から、110回目のアピールにあたります。
世界平和アピール七人委員会事務局
なお、問い合わせ、連絡先は、小沼事務局長まで。
FAX:045-891-8386 メール:mkonuma254@m4.dion.ne.jp
2012年講演会「福島の人びとと共に」のお知らせ
日時:2012年11月10日(土)15時~18時(開場14時30分)
会場:福島県南相馬市 サンライフ南相馬 集会室
入場無料
プログラム
・辻井喬「中央集権の時代から地方自治の重視へ」他
・大石芳野「福島の人びとを撮りつづけて、思う」
・小沼通二「原発と核兵器の時代を超えて」
・パネル討論「あらためて原発を考える」

疑惑の原子力基本法:「我が国の安全保障に資する」のたどる道
疑惑の原子力基本法:「我が国の安全保障に資する」のたどる道(Kagaku_201209_UncorrectedProof.pdf)
『科学』9月号(8月末刊行)掲載予定、岩波書店の特別の許諾により掲載
2012 107J 原子力基本法の基本方針に「安全保障に資する」と加える改正案の撤回を求める
2012年6月19日
世界平和アピール七人委員会
武者小路公秀 土山秀夫 大石芳野 池田香代子 小沼通二 池内了 辻井喬
衆議院本会議は、先週の6月15日に「原子力規制委員会設置法案」を可決した。この法案は、政府が国会に提出していた「原子力規制庁設置関連法案」に対立して自民・公明両党が提出していたものであり、この日に政府案が取り下げられて、自民・公明両党に民主党も参加した3党案として、衆議院に提出され、即日可決され、直ちに参議院に送られて、この日のうちに趣旨説明が行われたと報じられている。新聞報道によれば、265ページに及ぶこの法案を、みんなの党が受け取ったのは、この日の午前10時であり、質問を考える時間も与えられなかったといわれている。
世界平和アピール七人委員会は、この法案の中に、説明なく「我が国の安全保障に資する」という文言が加えられたことについて、ここに緊急アピールを発表する。
国会議事録はまだ公開されていないが、自民党の資料によれば、「原子力規制委員会設置法案」の第1条には、「この法律は、・・・原子力規制委員会を設置し、・・・国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資することを目的とする。」と書かれている。
我が国の原子力関連の個別の法律は、すべて日本国憲法のもとにある原子力基本法の枠の中で作られている。周知のとおり、原子力基本法の基本方針(第2条)は「原子力の研究、開発及び利用は、平和の目的に限り、安全の確保を旨として、民主的な運営の下に、自主的にこれを行うものとし、その成果を公開し、進んで国際協力に資するものとする。」となっていて、歴代政府は、日本国憲法に抵触しない原子力の軍事利用ができないのは、この法律に抵触するからだとしてきた。
しかし、「我が国の安全保障に資する」という文言は、わが国の独立に脅威が及ばぬように、軍事を含む手段を講じて安全な状態を保障することに貢献すると読む以外ない。このことに気が付いたためと思われるが、今回衆議院を通過した「原子力規制委員会設置法案」の附則第11条は、原子力基本法の一部改正にあてられている。
それによると、原子力基本法の基本方針に、第2条2を追加し、「2 前項の安全の確保については、確立された国際的な基準を踏まえ、国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資することを目的として、行うものとする」と改定するというのである。「我が国の安全保障に資することを目的として、安全の確保を行う」という文言は何を意味するのであろうか。具体的になにを行おうとするのか全く理解できない。
国内外からのたびかさなる批判に耳を傾けることなく、使用済み核燃料から、採算が取れないプルトニウムを大量に製造・保有し、ウラン濃縮技術を保持し、高度なロケット技術を持つ日本の政治家と官僚の中に、核兵器製造能力を維持することを公然と唱えるものがいること、核兵器廃絶への世界の潮流に反して、日本政府が米国に対して拡大抑止(核兵器の傘)の維持を求め続けていることを思い浮かべれば、原子力基本法第2条の基本方針の第1項と第2項の間に、矛盾を持ち込んで実質的な軍事利用に道を開くという可能性を否定できない。
国会決議によって、平和利用に限り、公開・民主・自主の下で進められてきた日本の宇宙研究・開発・利用が、宇宙基本法の目的に、「わが国の安全保障に資すること」を含めることによって、軍事利用の道を開いたことを忘れることもできない。
さらに、「基本法」は憲法と個別法の間にあって、個別法より優先した位置づけがされていることを考えれば、個別法の附則によって基本法の基本方針を、討議せずに変更することはゆるされない。
世界平和アピール七人委員会は、原子力基本法と原子力規制委員会設置法に、何らの説明なく「我が国の安全保障に資する」という表現を含めようとする計画は、国内外から批判を受け、国益を損ない、禍根を残すものと考え、可決にむけて審議中の参議院において直ちに中止することを求める。
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107.pdf
2012 106J イスラエルとイランの市民と政府に呼びかける
2012年4月10日
世界平和アピール七人委員会
武者小路公秀 土山秀夫 大石芳野 池田香代子 小沼通二 池内了 辻井喬
私たち世界平和アピール七人委員会は、1955年以来、世界の平和を願って国内・国外にくり返しアピールを発表してきました。
現在、イランの原子力施設に対してイスラエルが武力攻撃を加える可能性が公然と語られています。ホルムズ海峡における米国とイランの海空軍の対峙も、不測の事態を引き起こす恐れを生み出しています。
私たちは、イスラエルが1981年にイラクの、2007年にシリアの原子炉を、国際法を無視して爆撃したことを思うとき、イランの原子力施設への攻撃もまたありえないことではないと危惧します。その場合、大規模な戦争に拡大する危険性も杞憂とは言えません。
国際社会は、遺憾ながらイスラエルもイランも原子力研究・開発・利用に関して情報を充分に開示しているとは見ていません。もしも核兵器関連の研究・開発・製造・貯蔵をしている、あるいはしようとしているのであれば、直ちに放棄すること、そして国際社会に対し核関連情報を完全に開示することを求めます。それは、私たちも含めて世界の多くの人びとがかねてから要望している中東の非核兵器地帯を実現する、大きな一歩になります。
現在国際社会は、一方のイランだけに経済制裁を科しています。これは問題の安定した解決につながるものでなく、公平の原則に反しており、私たちは支持できません。
また、イスラエルと近隣諸国の間に外交関係がないことは、中東の安定化への重大な障害になっています。この異常事態は、双方の誠実な努力によってただちに解消すべきです。対立の過去にこだわるのでなく、望ましい未来の中東を見据え、協力して平和への道を一歩ずつ進んでいくことを強く求めます。そこには、イスラエルとパレスチナの関係改善も含めるべきです。これは、米ソを中心とした東西の冷戦の終結、欧州連合の発足などに見られるように、夢などではない、むしろ現実主義に根ざした歴史の必然的方向であり、発展です。
このアピールは、「全世界の国民が等しく恐怖と欠乏から免れ、平和の裡に生存する権利を有することを確認」し、「いずれの国も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって、政治道徳の法則は普遍的」だとした日本国憲法の理念に従うものであり、国連憲章の目指すところと一致すると考えます。
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世界平和アピール七人委員会 2011年篠山講演会 資料
「講演会&シンポジウム in 篠山」(11月12日、13日開催)で使用した資料を公開します。
1 11月12日 講演会「篠山で考える日本と世界」
1.1 下中美都:下中弥三郎の魅力
1.2 小沼通二:下中弥三郎と七人委員会(1) 七人委員会の誕生
1.3 武者小路公秀:地域主権と世界連邦
1.4池内了:いなかが本番になる
2 11月13日 シンポジウム「地域力を強めるーこれからの日本ー」
2.1 小沼通二:下中弥三郎と七人委員会(2) 七人委員会の活動
2.2 小沼通二:自然エネルギー研究・開発の伸び
3 11月11日 講演会「立杭から世界に羽ばたいた下中弥三郎」
3.1 下中美都:下中弥三郎の魅力 (今田小・中学校生徒に)
3.2 小沼通二:下中弥三郎と湯川秀樹
2011 105J 名護市辺野古への米軍普天間飛行場の移設計画は直ちに取りやめなければならない
2011年10月25日
世界平和アピール七人委員会
武者小路公秀 土山秀夫 大石芳野 池田香代子 小沼通二 池内了 辻井喬
1996年、日米両国政府は普天間飛行場返還に合意した。その後曲折を経ながらも、いまだに両政府は、米海兵隊基地は沖縄県名護市辺野古に移設することが現実的な解決策だと主張し続けている。しかし、沖縄県知事、県内41市町村の全首長、県議会、県民は辺野古移設への反対を明確にし、「危険性の除去」、「少なくとも県外移設」を繰り返し求めている。
これに対し、野田政権は発足からの短期間に、沖縄担当大臣、防衛大臣、外務大臣を相次いで沖縄に派遣しているが、誰一人沖縄のおかれている現状に目を向けることも、 沖縄の声に耳を傾けることもなく、県民の意志とは全く無関係にアメリカ政府の要求の伝達を繰り返しているとしか思えない。
しかも、米軍基地の必要性を説明するのではなく、振興策と称して多額の交付金を投入して民意を変えようとするのは、民主主義に反する。沖縄県民が望んでいるのは、民意を尊重した解決であり、我々が望むのも同じである。
1945年3月26日の沖縄戦開始以来、戦争終結によっても、1972年の施政権返還を迎えても、冷戦が終わっても、沖縄の米軍基地の根本的軽減は行われず、今日においても、在日米軍施設の74%が国土の0.6%に過ぎない沖縄県に集中している。
私たちは、日本国憲法も国連憲章も仮想敵国を作ることを想定していないと考えるが、もし仮想敵国に対する国の安全保障上、米軍基地は減らせないのであれば、沖縄県以外の、99.4%の面積を占める都道府県に移転先を求めるべきである。他都道府県に移転先が見つからなければ、日本国外に移転するほかない。沖縄県のみに負担を押し付けるのは、差別以外のなにものでもない。市民の意思を踏みにじる都道府県の政策決定、都道府県民の意思を踏みにじる国の政策決定は、憲法第95条に定められた民主主義的地域主義の精神に反する。
対立する一方の国が、自衛権の下に軍備の質的、量的増強を図れば、相手国も軍備を増強し、軍拡の連鎖が戦争を引き起こし、双方を疲弊させることは、歴史が繰り返し示してきたところである。この連鎖を逆転させることこそ、政治、外交の目標でなければならない。政府が特使を送って説得しなければならない相手は、沖縄県ではなく米国政府である。
施政権返還以来、沖縄の米軍基地は幾度も不安定性を示してきたが、その根源的な原因は民意の無視にあった。この度またしても民意を無視して米海兵隊基地の辺野古移転を強行するなら、基地の円滑な運営など望むべくもなく、ひいては東北アジアにおける軍事バランスにアメリカそのものが望まないような不安定性を増大することは、火を見るより明らかである。私たち世界平和アピール七人委員会は、このことを日本政府が直視し、沖縄の民意を重い委託と受け止め、アメリカ政府と真摯に向き合うことこそが重要と考える。
PDFアピール文→
105j.pdf


