講演会 2014年

いま、日本は重大な岐路に立っている 2014年講演会で訴え

世界平和アピール七人委員会は、11月4日(火)午後1時半から5時過ぎまで、東京・港区白金台の明治学院大学で、2014年講演会を開いた。同大学国際平和研究所との共催で、テーマは「重大な岐路に立つ日本」。ことし新しく委員になった池辺晋一郎、髙村薫両委員と、池内了委員が講演、3委員と小沼通二委員・事務局長、大石芳野、武者小路公秀の各委員と高原孝生明治学院大学国際平和研究所長が加わってパネル・ディスカッションが行われた。土山秀夫委員は、「私情と国益」と題したメッセージを寄せ、紹介された。

最初に、小沼委員・事務局長が挨拶した後、池辺、髙村、池内の各委員の順で講演した。

池辺委員は「主張する音楽」と題して、「95年にレバノンで平和イベントがあった。そこで『かつて、第2次大戦が終わった直後に、ヒロシマという歌がはやった』と聞いた。『その頃口ずさんでいた人はもうみんないなくなったが、そういう歌が歌われたことを覚えている』ということだった。いま、どんな歌かはわからないが、歌はそんな風に、人々をつないでいる」と話した。「私は、昨年シンフォニーを2曲書いたが、それは3.11に触発されている。作曲という行為は何かに突き動かされないとできない」とも。

続いて髙村薫委員が「言葉の伝わり方」と題して話した。髙村さんは、「30年くらいの間に、言葉は大きく変わった。情報通信技術の発達によるものだが、そこで、人間も変わった。言葉は短くなり、簡単になった。問題は単純化され、長い文は読めなくなった」と問題提起。そのなかで、「日本の政治家の発言が問題になっているが、冷戦構造の中で、終戦当時日本の戦争責任を見つめ直すことができなかったのは、日本人の最大の悲劇ではないか」と述べ、「美しい日本と言う。そこで言語感覚は劣化している。ことばがこんなにやせ細った状況でいて大丈夫なのかと感じている」と訴えた。

3人目の講演は、池内了委員。テーマは「軍学共同の動きと日本の未来」.池内さんは「この100年に爆弾の爆発力は10億倍、犠牲者数は40万倍になったが、これは科学者の協力があって可能になった」と話し、「科学者の軍事動員はアルキメデスの時代からある。日本は『軍事目的のための研究はしない』としていたが、いまは『大学や研究機関との連携で防衛にも応用可能な民生技術の積極的な活用に努める』と防衛計画大綱に書かれ、大学との技術交流も増えている。科学者研究者の倫理意識を研ぎ澄ますことが必要だ」と強調した。

講演の後のシンポジウムでは、髙村さんの提起した言葉の問題や、大学の危機、軍事と民生とのデュアルユースの問題など、広範囲な話題が語られた。
パネリストを務めた同大学国際平和研究所の高原孝生教授は「若者のことが問題になるが、いま学生たちはすばらしくがんばっている」と、10以上の大学生が一緒になって、秘密保護法反対の2000人のデモを成功させたことを紹介。この「有志の会」の学生が「秘密保護法はわたしたちの問題。12月10日にも行動したい」と決意を述べた。   (了)

  • 正門前

  • 司会の小沼

  • 池辺晋一郎

  • 髙村薫

  • 池内了

  • パネリスト

  • 土山秀夫からのメッセージ

  • 武者小路 公秀

  • 大石芳野

  • 高原孝生明治学院大国際平和研究所長

  • 発言する学生

  • 会場風景

 

この講演会の記録をもとに、アケビ書房から『重大な岐路に立つ日本 —今、私たちは何をしたらいいのか』(税込み・定価1512円)が出版されています。ぜひご購読ください。