今月のことばNo.51

2020年4月29日

新型コロナウイルス感染症COVID-19によるパンデミックのただなかで

小沼通二

「新型コロナウイルス感染症COVID-19によるパンデミックのただなかで
―世界のパグウォッシュ会議メンバーへのメッセージ―」 
日本パグウォッシュ会議メンバー 小沼通二 202年4月27日

<このメッセージは、英文サイトに掲載された原文の翻訳です。もともとパグウォッシュ会議事務総長への書簡に添付され、パグウォッシュ会議の電子掲示板 Pugwash Forum に掲載されました。>

新型コロナウイルス感染症COVID-19(Corona Virus Disease 2019)が世界を覆っている。
14世紀には黒死病といわれたペストがヨーロッパで荒れ狂った。
20世紀にはスペイン風邪が世界中で蔓延した。
今世紀に入ってからも人類はSARS(重症急性呼吸器症候群Severe Acute Respiratory Syndrome)やMERS(中東呼吸器症候群Middle East Respiratory Syndrome)を経験した。
これ等の病気に対して、軍備は国民を守ることができなかった。
軍拡競争は、人類の英知によって、軍備管理、軍縮に転換されるだろう。
別の緊急課題である気候危機は、人類の協力によって、克服されるだろう。
しかしその一方で、新たに変種となったウイルスによるパンデミックは確実に繰り返して人類社会に戻ってくる。
軍事費は、現在と将来のパンデミックにおける医療と世界経済を含む社会活動の崩壊を避けるための費用に振り向けるべきである。
世界のパグウォッシ会議はこの新しい思考のためあらゆる努力を行うべきである。
これこそ「ほかのことは全てわきにおき、人間性を忘れるな」と述べたラッセル・アインシュタイン宣言の精神と一致するものである。