1957 パダウォッシュ会議(カナダ東海岸パダウォッシュにおいて開催。核爆発実験による人工放射能被害に関する世界科学者会議)に出席する湯川委員に同会議に対して原水爆禁止を呼びかけるアピールを託す(要旨)

1957年7月4日

 われら世界平和アピール七人委員会は、これまで繰り返し核爆発実験の中止について米英ソ三国に要請し、その国際協定成立の措置を講ずるよう国際連合にも勧告してきたが、これは平和な生活を営みつつある世界の民衆に予測しえない惨害をもたらす可能性をはらんでいるからであり、さらにはこのような核兵器による国際間の勢力均衡ということが、一歩誤れば全人類を破滅に陥れる危険をもっていると確信するからである。

 このとき核爆発実験による危害に対する世界科学者会議がカナダで開催され、世界各国からの権威ある学者たちが、それぞれ科学的調査資料を持ちよって一堂に会し、それを基礎として人道と良識の立場から自由に討議し、人類の真剣な反省に資することは意義大なるものがある。

 こうして世界の科学者が崇高な目的のために団結し、人類の平和と幸福のために奉仕しようとの尊い使命に進む決意と実践を示されたことに心からの祝意と感謝をささげ、将来への力づよい発展を期待して会議の成功を祈る。

(1957年7月4日付毎日新聞)