1963 30J 軍縮委員会に対し核停止協定の成立を望むアピール

1963年2月12日

 私たちは、ひたすら平和を願う立場から、今回ジュネーブで再開される軍縮委員会の会議に、ひときわ強い関心をひかれざるをえません。

 すでにワシントンとニューヨークで行われてきた米英ソ三国の予備折衝をかえりみると、核実験停止問題の最大の難関であった地下実験の現地査察について、いまほど東西、ことに米ソが歩みよったことは、まだないからです。地下実験の停止で合意ができれば、水中、大気圏内、大気圏外の実験については、これを無条件で停止することに、米ソの間に意見の一致をみております。そして核実験停止の協定が成立すれば、人類の将来にとって寒心にたえぬ脅威が取り除かれるだけでなく、軍縮へのけわしい道も切りひらかれることになるでありましょう。

 しかし、万一、今回の会議が失敗に終わるようなことにでもなれば、米ソに対する世界世論の失望は、きわめて深刻なものとなり、それは両国の世界政策につぐないがたい損害をあたえるかも知れません。そのうえ「平時最高」といわれ、または「戦後最大」と称せられる軍事予算を背景として、両国間に核ロケット兵器を中心とする危険きわまりない軍備競争が、ふたたび推進されないとはいえません。少なくとも、核拡散の勢いを防止することは、到底できないと思います。そうした意味で、今回の軍縮委員会は、はじめから明暗の分かれ路に立っているといって決して言いすぎではありません。

 米ソが、ようやく訪れたこのまれにみる好機をとらえ、大国としての平和に対する絶大な責任と指導性とを発揮し、地下実験に関する最後の障害を乗りこえて、核実験停止の全面的な合意に達することを、心から望んでやみません。良識をもってなるイギリスが、よろこんで妥協の途をはかるであろうことは申すまでもありますまい。

 また私たちは、今回の会議における中立八ヵ国の調停の努力に、最大の期待をかけるものであります。恐るべき核ロケット兵器などに何の執心も持たず、一日も早くこれらが地上から姿を消すことを願う点で、中立八ヵ国の立場は、まさに世界世論の立場と同じです。

 中立八ヵ国は、世界世論のつよい支持をその背後に持つことを確信し、東西歩みよりのために必要な具体的方式を作成して、核実験停止協定の成立に側面からあらゆる努力をつくしてほしいのです。

 会議の成功を願うためには、アメリカは少なくとも会議の期間中は、当然地下実験をやめるべきだと思います。またフランスは、その不参加によって、仮にも会議失敗という大責任を負うようなことがあってはなりますまい。進んで出席し、会議を一層よく軌道にのせることが望ましいと考えます。

1963年2月12日

世界平和アピール七人委員会