1978 77J 首相は自ら軍縮総会に出席して全面完全軍縮を訴えよ

1978年2月27日

 国際連合は、きたる五月二十三日から軍縮特別総会を開催致します。軍備縮小を主な討議議題として国連が特別総会をひらくのは、この世界最大の国際機構が創設されてから未だかつてありません。われわれは軍縮特別総会をまことに意義深いものと考え、心から開会を歓迎致します。

 ところで、平和憲法をもち唯一の被爆国であるわが国として、軍縮に対する強い熱意を示すために、この際、全日本国民を代表して総理みずから会議場に赴き、世界の国々に軍縮の必要性を説かれることは、大きな意義をもつと思います。

 国際情勢はいま転機に立っています。戦後永く対立抗争してきた米ソは現在、平和共存の考えをとっているとはいえ、軍縮討議の内容は後退し、軍備管理の取り決めをめぐり足踏みしている状況であります。その間、兵器は効率化し、核兵器はミサイル兵器となり、その対抗手段の対抗手段を生み、戦術兵器、戦略兵器を問わず、その量と質とはすでに無限の破壊力をもつに至り、核の拡散も無視できない状態となっております。このような傾向を今にして止めなければ、第三次大戦を招き、それは人類と文明の終焉を意味するでありましょう。

 軍縮特別総会の開催は、非同盟諸国の提案により、総会本会議でも全会一致をもって採択されました。この事実は、軍事費を増大することは、国の財政を破綻させ、また発展途上諸国の援助も公約どおり果たせないという経済状勢に対し、世界の国々が大きな恐れと不満を示したものと思われます。

 私どもは総理が自ら出席され、全面完全軍縮を強く訴えられ、それに向う最初の一歩として、米ソ両国を始めとするすべての国が核兵器の廃棄に向って決断するよう、積極的に働きかけることを要望致します。

1978年2月27日

世界平和アピール七人委員会
      上代  た の
      茅   誠 司
      大河内 一 男
      朝永  振一郎
      植村    環
      湯川  秀 樹
事務局長 内山  尚 三

内閣総理大臣 福田赳夫殿